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生保営業のヒント
生保営業(募集編)
Aの力=「行動力」その10:優績者に学ぶ「生保営業4つの活動」-9
3.契約締結(売る)活動について PART5
(4)商品提案力 その1
  すでにご紹介しましたが、「売りの4力」のうち(2)情報分析力(3)商品設計力「集団作業」と違って、(1)情報収集力(4)商品提案力については、ペア活動の場合もまれにあるでしょうが、原則は個々人が行う「個人作業」です。
  今回は、その中でも契約締結の成否を決する(4)商品提案力について、数多くの優績者の先輩から学んだことを、私なりにまとめてみました。
  これらの方々の共通点は、

  以上の3点だと思います。
順次、事例等を交えながら、ご紹介したいと思います。
@まず、お客さまとの信頼関係を醸成していく力が優れていること
  お客さまが知人や友人のいわゆる「イニシャルマーケットの方」ですと、信頼関係がすでにできているので、即「契約締結(売る)活動」に入れる、ということも多いかと思います。
  しかし、紹介や飛び込みの場合は、「あなたの話なら聞いてみようか…」となるまでの、信頼関係を醸成することがまず大切ですね。
  すでに「募集編」第4回から第8回まで、初対面から信頼関係を醸成する「見つける(ドアオープン)活動」と「育てる(ハートオープン)活動」についてご紹介しましたが、さらに、事業(企業)保険の締結に到った信頼醸成の事例とポイントを、追加してご紹介したいと思います。
  <参考(募集編第4回掲載分を再録)>
生保営業4つの活動(行動)
1 見つける(ドアオープン)活動
2 育てる(ハートオープン)活動
3 契約締結(売る)活動
4 既契約のアフターサービス活動
 キーマンとの信頼関係醸成に成功した事例 
   その1 
  キーマンである経営者の趣味を知り、それを活かした先輩の事例をご紹介します。
   ・  その経営者とたまたま会合で懇談する機会を得た。趣味を伺うと庭いじり、特に紅葉する庭木を集めているとのこと。
   北海道に勤務していたこともある先輩は、「北海道では街路樹などでよく見かける、赤い実をつけて紅葉も楽しめる「ナナカマド」を、お持ちですか?」とお聞きした。
   すると、「北海道へ旅行したときに購入して持ち帰り、庭に植えつけたが、害虫にやられたのか、病気になったのか…、枯れてしまい今はない。育て方がまずかったと思う」とのこと。
   早速先輩は、北海道から約20本のナナカマドの苗木を取り寄せ、経営者宅へ伺い、庭に植えつけさせてもらった。
   その後、定期的に薬剤散布に伺うなど、丹精を込めて育て上げ見事な紅葉を見ることができた。
   その間、会社へもたびたび伺い信頼関係が醸成され、法人契約、事業保険また個人保険の見直し締結へとつながった。
   その2 
皆さんもご存じのとおり、中小企業の場合はキーマンが経営者であるご主人とは限らず、奥さま(特に経理を担当している場合等)であることも多いですね。
そこで先輩から教えてもらったことをご紹介します。
   ・  お世話になっていることへのお礼や今後の厚誼をお願いしようと、経営者であるご主人を「一献差し上げたい…」などと、決して酒席にお誘いしてはいけない!
   「血圧が高い」等の持病がある経営者も多い。もしそうであれば、「誰に誘われたの?」と、ご主人の健康を心配する奥さまが、お誘いしたこちらを快く思わない場合もあるでしょう。これではお誘いしたことが逆効果になりかねない。
   だから、お礼や今後の厚誼をお願いしたいならば、キーマンである奥さまが喜ぶものを選んでお送りするほうが、よほど心が届くよ…、と。
   そのうえ、酒席へのご招待費用で、何度かのお届けができ、キーマンである奥さまからの信頼も増すというものだ。
   お送りするのは郷里特産の食べ物でもよいな…、とにかく「お金は活かして使え」、それに夜の接待がなければ、自分も早く家に帰れるよ…、と教えてくれました。
「将を射んと欲すれば、先ず馬を射よ」という
ことわざもあります。先輩はありがたいですね。
こんな事例が本当に役立ちました。
皆さんも参考にして工夫してみてください。

A次に、お客さまが明確に意識している「ニーズ」はもちろん、明確には意識していない「ウォンツ」をもくみ取り、お客さまが満足する商品を設計する力が優れていること
これは、長年の経験がはぐくんだものだと思いますが、駆け出しのころ先輩から、こんなことを言われました。
   ・  よく「ニーズ喚起」というけれど、まず自分が「なるほど! 本当にそうだ」と確信でき自信の持てる商品を設計することだ。それがお客さまへの訴求力となり、お客さまが加入しようという本当の「ニーズ喚起」につながるんだ。
   そして、営業も人生の経験も浅い者でも、「なるほど! 本当にそうだ」と確信し自信の持てる商品を設計でき、そのうえ、お客さまへの訴求力も増すのは、データを使うことだ、と。
  あれから、営業も人生の経験も積んできました。また、数々の優績者を見てきて、先輩の言われたことに得心を深めています。
  そこで、データを使うことに絞った商品設計力のうち、個人保険提案でもよく使う「簡易生命表」は皆さんもご存じだと思いますが、これを事業(企業)保険提案に活かす2つの話法例をご紹介いたます。
  <平成21年簡易生命表(厚生労働省)から抜粋/男性>
年齢 生存数(人) 死亡数(人) 平均余命(年)
30歳 98,786 71 50.37
50歳 95,901 315 31.51
60歳 91,098 752 22.87
65歳 86,742 1,065 18.88
70歳 80,683 1,481 15.10
75歳 71,883 2,263 11.63
   その1 
   「社長さん、現在のお歳は50歳でしたね?」
   「そうだよ。よく知っているね」
   「以前教えていただいたんですよ」
   「そうだったか…。ところでそれがどうかしたのかね?」
   「社長さんが70歳ごろ、息子さんにバトンタッチしたいとも伺っていたものですから…」
   「うん、それまで元気でいたらね…」
   「大丈夫ですよ! こちらの生命表をご覧ください。50歳の男性の方の平均余命は31.51年、社長さんはお元気ですから、それ以上長生きされると思いますよ」
   「そうかね…。長生きしても、病気をして子ども達に迷惑を掛けたくないしね…」
   「そうですね。丈夫で長生きしたいですね。それに老後の備えも万全にしておきたいものですね。
この表は、10万人の男の赤ちゃんについて時系列的に推移を追ったものではありませんが、50歳の時点で95,901人がお元気に生活している、と解釈しても大きな間違いではないと思います。その観点から申しますと、70歳で80,683人ですから、社長さんをはじめ現在50歳の方々は平均的に見て <80,683÷95,901×100=84.13>で、約84% の方が、70歳を迎えられるということになります」
   「なるほどね…」
   「社長さんはお元気ですからもっと高い確率で長生きなさると思います。ですから老後の資金となる勇退退職金対策にもっと力を入れるべきではないでしょうか?」
「そうかね…」
「現在ご加入の事業保険・個人保険を合わせた総合的な見直しのお手伝いを、ぜひ私にさせてください。よろしくお願いいたします」
   その2 
   「社長さん、御社の従業員の方々の平均年齢は確か30歳位でしたね」
   「そうだよ…」
   「こちらの生命表をご覧ください。従業員の方の中には女性の方も若干いらっしゃいますし、少し乱暴な見方ですが、30歳の方々が御社の定年である60歳を迎えるまでの死亡率は <(98,786−91,098)÷98,786×100=7.78>で、約8%となります」
   「なるほどね…」
   「御社の従業員の方は、現在150人いらっしゃいますので、このデータから申しますと <150×0.08=12> 、つまり定年まで約12人の方が亡くなる、ということになります」
   「へー、そうなるか…」
   「これは、あくまでもデータです。必ずしもそうなるとは言い切れません。が、備えあれば憂いなしです。ぜひお勧めしております総合福祉団体定期保険へご加入ください」
   「うーん…」
   「従業員のご家族はもちろん会社のためにも、ぜひご決断ください。よろしくお願いいたします」
「データは、冷徹に事実を物語っている」とも先輩は教えてくれました。
データ活用の一端をご紹介しましたが、ぜひ、訴求力を高めるデータの活用を工夫してみてください。
  次回は、(4)商品提案力(その2)として、
   B そして、設計した商品のポイントを押え明快に説明し、絶妙のタイミングでクロージングへと持っていく力が優れていること
  について、ご紹介いたします。
  この原稿作成中に、東北関東大震災が起きました。亡くなられた多くの皆さまのご冥福をお祈りいたします。あわせて震災や原発事故で被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。
  私の郷里も仙台です。一日も早い支援と復興を…、と祈念致しております。
(つづく)
2011.04.04
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