> 生保営業 成功のヒント > 第三回 「バイパス」は、組織を破壊する?
生保営業のヒント
 T.日常のマネジメントのヒント
マネジメント1 タイトル
「バイパス」は、組織を破壊する?
  組織長の成長を支え組織を拡大するに当って、留意したいことのひとつは「バイパス」。
  「バイパス」は組織を破壊する!
  油断をすると、無意識のうちにやってしまうのも、この「バイパス」。
  例えば、組織長が事務所から帰宅した後に、まだ入社間もない所属員が「大きな契約がまとまった!」と大喜びで事務所に帰ってきた。機関長も共々に喜び合い、明日の朝礼時にその経過を発表するよう指示をした。
  翌日の朝礼時、機関長から指示を受けていた所属員は全員の前で経過を発表、初耳の組織長はビックリ!?
  こんな「バイパス」や、また、所属員の前で、悪口は論外として、つい組織長の愚痴を言ってし まう「バイパス」等々…を繰り返しながら、組織長の成長とリーダーシップ発揮を期待するのは無理というものですよね。
  所属員には、必ず組織長を通じて指示。それができない場合には、指示した後、組織長の耳に入れておく。こんな細やかな心配りの努力が、「機関長と組織長との信頼関係を築き強固なものにしていく、ひとつのポイント」ではないでしょうか?
  「刀の傷は癒えるが、言葉の傷は癒えない…」「口は災いの元…」とか、ともかく「長のひと言は重い」。お互いに、重々気を付けたいものですね。
「バイパス」が、組織を活性化する?
  機関長と組織長との信頼関係を、また、ひいては所属員と組織長との信頼関係を、破壊しかねない前述のような「バイパス」はナンセンス!
  むしろ、組織長の長所や美点を、常日ごろよく観察しよう。そして、機会をみつけて、その長所や美点を所属員に明るくポジティブにPRをし続けよう。組織長と所属員の信頼関係を強めるために。
  そうはいっても、「他人の欠点は、すぐ目に付きやすいもの…」、お互いに忍耐強く努力して、「美点凝視」の習慣を、身に付けたいものですね。

  それからもうひとつ、「組織長からは、そんなことは言われませんでしたよ…」と所属員。機関長と組織長との間に、所属員育成の仕方(活動とか募集方法・手順、等々)に意見の食い違いがあった場合。その場では言下に否定せず、「うーん、それは組織長に深い考えがあるんだろうね…」等と一応は容認し、後で組織長とよく話し合って調整しよう!
所属員が混乱せず納得するように。
  いずれにせよ、
  組織長と所属員の信頼を強める「バイパスの努力」。
  組織長と所属員との絆を強める「ファスナー」の役目が機関長。
  日常のきめ細かな心遣い…、「小事が大事」ですね。その努力の
積み重ねに、組織そして機関を活性化させる「鍵のひとつ」があるのでは…。
みんなが「人財」!
  どんな集団にも、「三種類の人がいる」。
  一つ目の種類は、その集団になくてはならない人。いないと困る、集団の宝だから、「人財」
  二つ目の種類は、いてもいなくてもいい人。材料のように、取り替え可能なスペア人間だから、「人材」
  三つ目の種類は、いては困る人。いると災害が起きたり、困った事件が起きたりするから、「人災(人罪)」だと…。
  そして、「お前も機関長になるのだから、機関の全員を一人残らず人財だと思えるよう努力しろ」
と先輩。
  「多分不可能です。できません」と私。
  「そうだろうなー、俺もできないよ。『世界を制覇するよりも、自分に勝つことの方が難しい』と もいうからなー、まあ頑張れ!」と。
  転勤の忙しさに紛れて、会話はここまでで終った。
  あれから約40年…。今しみじみと先輩のアドバイスが理解できる。
  さまざまな人がいるけれど、それは素晴しい個性の集まり。自分の未熟な経験の狭い視点から判断して、「人材や人災(罪)のレッテル」を貼るなよ。「その他大勢」でひとくくりにした無個性なグループで見るなよ。
  一人ひとりの長所を見つけて、適材適所で活かしていけ。どの人も機関にとって必要不可欠な人。「士は己を知るもののために死す」だぞ、と。
  そして、先輩が本当に言いたかったことは…。
  「言うは易く行うは難し…」。現実は厳しい。あまりの現実の厳しさに、目を背け逃げ出したくなる自分と、勇気を奮い起こしてオロオロしながらも戦え。
  人は「無視」されることほど、辛く苦しいことはない。見栄を張ったり、格好を付けたりせず。ありのままの自分で、一人ひとりと正面から、ガップリ四つに組んでかかわっていけ。かかわり戦い続ける中に、機関長の成長がある。
  皆、見ている、解っている。
  機関長のその戦う心に、皆も奮い立ち、機関も大きく強くなっていくんだ。
    「機関長の器以上に、機関は大きくならない」
  ということだったのでは…、と。

    今は亡き先輩に感謝。
(つづく)
2009.04.27
ページトップへ
須長 光男 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
 宮城県出身
 明治生命(現 明治安田生命)入社、機関長、機関経営コンサルタント、
 支社長を経て本社営業教育部で販売技能開発、教育研修を担当。
 平成8年より(株)セールス手帖社保険FPS研究所の企画開発部長と
 なり、生保に関するテキスト、マニュアルの企画・執筆の一方、
 セミナーも数多く行っている。
[主なセミナーテーマ]
 「事業承継・相続対策プラン販売のすすめかた」「事業保険見直し販売のすすめかた」
 「公的年金知識をアプローチとした生命保険の販売」「FP知識を活かした実践的販売手法」
 「採用・育成のヒント」
 「セールスマネージャーの実践的マネジメント」
 「目標実現のためのホロニックマネジメント・トレーニング」
[講演・セミナー実績]
 全国各地のJA共済連LA向けセミナー
 簡保、全外協等の大会における各種講演
 生保各社の機関長、組織長、営業職員向けセミナー
 生保各社の機関長・組織長合同ホロニックマネジメント・トレーニング
 その他、大手企業管理責任者向けセミナ−や中小企業経営者を対象とした講演等、
 年間60〜70回実施。
須長 光男