> 生保営業 成功のヒント > 第九回 「二つのカテイ」を大切に!
生保営業のヒント
 T.日常のマネジメントのヒント
マネジメント1 タイトル
25.「二つのカテイ」を大切に!
  あるベテラン機関長が赴任時のあいさつで、「私は『二つのカテイ』を大切にする経営をしたい」と、話を始めました。

  一つ目の『カテイ』は、「過程(プロセス)」だ。
  成果のみを重視すると、その成果に至る「過程」に目がいかなくなりがちだ。たまたまフロックで得られた、営業力アップを伴わない成果や、怖いのはこの仕事を始めたときに持っていたベースマーケット(イニシャルマーケット)の取り崩しのみで、見込み客が減少していくのを見過ごしてしまい、気付いたときにはもう手遅れ…、なんてことになってしまうことだ。
  生保営業は、確かな過程を踏んで収穫を得ていく農作業に似ている。
「見つけ(植え)て」「育てて」「売って(収穫して)」、そして「既契約を守りながらさらに拡大していく」。常に全体のバランスを考えながら、確かな過程を踏んで募集活動を展開していく。そのなかで営業力も鍛えられていくと思う。
  荒野を耕して畑を作るのと同じように、生保営業を始めてから既契約の畑を作り上げるまでは大変だ。しかし、作り上げてしまえば、農作業の水やり、草取り、害虫退治などと同じように、しっかりと計画を立てアフターサービス(フォロー)で既契約を守り、そして、機会をとらえて既契約者からの紹介などで、新しい顧客へ拡大していく活動を、堅実におこたらず続けていくならば、長く続けることができる。これが生保営業だと思う。
  だから私も、みなさん一人ひとりの成長過程を的確に把握し、助言や同行支援をしていきたい。

  二つ目の『カテイ』は、「家庭」だ。
  今はFPというけれど、「家庭設計や人生設計」を踏まえた「資産設計」のアドバイザーが生保営業だと思う。だからまず、自分の家庭設計や人生設計をしっかりやろう。社会に開かれた常識豊かな家庭を築いていくことのできる人が、そのまま、生保営業の腕を磨いていくことにもなると思う。
  そしてまた、生保営業人として実社会の中で、もまれ鍛えられながら成長していくことが、家庭 人としての成長につながると思うが、どうだろうか。
  とにかく、家庭を大事に成長してほしい。
  そして、「生保営業の仕事をやり続けて本当に良かった」という人生に、一人ひとりがしてほしい。
  私も皆さんの成長を、的確に支援できるよう全力で頑張るので、共々に頑張ろう。よろしく!

  概ね以上のようなあいさつでした。

  機関長駆け出しのころ、ある先輩が教えてくれた…。
「成果への賞賛は、支社でも本社でもできる。一人ひとりの活動内容を日々把握し、成果に現れない営業努力をも認め賞賛できるのは、職員の身近にいる機関長だからだ。
  また、一人ひとりのバックグラウンドである家庭を知る努力を怠らないことだ。機関長が見ていてくれる…、知っていてくれる…。それが、職員一人ひとりの向上意欲を高め、成長していく大きな要因になると思う」
との言葉を思い出しながら、共感を持って聞いておりました。

  それ以降の、そのベテラン機関長の確かな行動と実績の歩みを見て、さらに共感を深めました。
26.「日本型Y理論」でいこう!?
  D.マクレガーの性悪説に立脚したX理論だ…、いや性善説のY理論だ…。いやいや、その先のZ理論だ。また、A.マズローの「人間の欲求5段階説」を踏まえないと…、等々。
  さまざまなマネジメントスタイルやリーダーシップについて、受講したいろいろなセミナーで教えていただきました。確かに共感する部分もありましたが、私の理解が不十分だったのかもしれませんが、少々違和感もあった、というのが実感でした。

  生保市場は、怠け者や中途半端な気持ちの者に、末永く付き合ってくれるほど甘くはありません。厳しい市場が叱咤や督励をしてくれる。その厳しい市場が、強くたくましく育ててくれる部分が大きいのではないでしょうか。だから生保業界には、「X理論」でいう叱咤や督励はあまり必要がない、と思いますね。
  私が多くの優れた先輩から学ばせていただいた共通のマネジメントスタイルやリーダーシップは、「一人の人間の心の中には、善もあれば悪もある…、その善の心に向かって、誠意と熱意の対話や行動で働きかけ励まし続けること。それがマネジメントやリーダーシップの中核だ」、ということだと思います。
  もちろん、「悪事やルール違反に対しては烈火の如く叱り、厳格に対処すること」も共通です。
  これを私なりにネーミングすれば、「日本型Y理論」のマネジメントスタイルやリーダーシップというところでしょうか。

  俳優の西田敏行さんの語ったことが、ある新聞に載っていました。「成果主義ばかりでなく、一人ひとり無駄な労働力なんてないんだよと、許容し抱きかかえるキャパシティーの大きさ。いかにも日本的経営観で、理想論といわれるかもしれないけれど、いろんな立場の人のモチベーションを全部上げていくことがきちんとできる人こそ、真のリーダーという気もしますね…」と。
  現実は「言うは易く行うは難し」かもしれません。しかし、人類の理想ともいえる「相互扶助」を制度化した生命保険の事業を担う業界だからこそ、西田さんの言う真のリーダーを目指して努力したいと思うのですが…。そしてその努力が「リーダーシップそのもの」ではないでしょうか。

  ここまで、「T.日常のマネジメントのヒント」として述べてきましたが、今回で一応区切りをつけたいと思います。
  「人を見つけ育てれば、数字の成果は泉のごとく湧いてくる」、と教えてくれた先輩もいらっしゃいました。次回から、「U.採用と育成のマネジメントのヒント」として、採用・育成、それに育成の場である基盤についても、ご紹介していきたいと思います。
(つづく)
2010.05.17
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