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概要
個人が、一定の美術館と特定美術品(仮称)の長期寄託契約を締結し、文化財保護法に規定する保存活用計画(仮称)の文化庁長官の認定を受けてその美術館(以下「寄託先美術館」)にその特定美術品を寄託した場合において、その者が死亡し、その特定美術品を相続又は遺贈により取得した者(以下「寄託相続人」)がその長期寄託契約及び保存活用計画に基づき寄託を継続したときは、担保の提供を条件に、その寄託相続人が納付すべき相続税額のうち、その特定美術品に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予する。
(注1) |
上記の「一定の美術館」とは、博物館法に規定する博物館又は博物館に相当する施設として指定された施設のうち、美術品の公開及び保管を行うものをいう。 |
(注2) |
上記の「特定美術品」とは、重要文化財に指定された美術工芸品又は登録有形文化財(建造物を除く)であって世界文化の見地から歴史上、芸術上若しくは学術上特に優れた価値を有するものをいう。 |
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A |
税額の計算
イ |
相続税の納税猶予の適用がないものとして、通常の相続税額の計算を行い、寄託相続人の相続税額を算出する。 |
ロ |
寄託相続人以外の者の取得財産は不変とした上で、寄託相続人が、通常の課税価格による特定美術品のみを相続したものとして計算した場合のその寄託相続人の相続税額と、課税価格を20%に減額したその特定美術品のみを相続するものとして計算した場合のその寄託相続人の相続税額との差額を、その寄託相続人の猶予税額とする。
なお、上記イにより算出した寄託相続人の相続税額からこの猶予税額を控除した額が、その寄託相続人の納付税額となる。
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B |
猶予税額の免除
寄託相続人が死亡した場合は、猶予税額を免除する。
このほか、寄託先美術館に対するその特定美術品の寄贈又は自然災害によるその特定美術品の滅失があった場合には、下記Cにかかわらず、猶予税額を免除する。
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C |
猶予税額の納付
次に掲げる場合には、猶予税額及び法定申告期限からの期間に係る利子税を納付する。
イ |
特定美術品の譲渡等をした場合 |
ロ |
特定美術品が滅失をし、又は紛失等をした場合 |
ハ |
長期寄託契約が終了した場合又は保存活用計画の期間満了後新たな認定を受けなかった場合 |
ニ |
重要文化財の指定の解除若しくは登録有形文化財の登録の抹消があった場合又は保存活用計画の認定が取り消された場合 |
ホ |
寄託先美術館が廃止された場合(新たな寄託先美術館に寄託した場合を除く) |
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D |
その他
イ |
寄託相続人は、3年毎に、継続届出書に寄託先美術館の発行する証明書を添付して、寄託相続人の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 |
ロ |
文部科学大臣又は文化庁長官は、上記Cイからホまでに掲げる場合に該当することを知ったときは、寄託相続人の納税地の所轄税務署長にその旨を通知しなければならない。 |
ハ |
その他所要の措置を講ずる。 |
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