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Ⅴ.納税環境整備
1. 電子帳簿等保存制度の見直し  
 国税関係帳簿書類の電子化を一層進めるため、事業者等における経理の電子化の実施状況や対応可能性、適正な課税の確保の観点での必要性等を考慮しつつ、必要な見直しが行われます。
(1)国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度
一定の国税関係帳簿に係る電磁的記録の保存等が、国税の納税義務の適正な履行に資するものとして一定の要件等を満たしている場合におけるその国税関係帳簿(「優良な電子帳簿」)に係る過少申告加算税の軽減措置の対象となる申告所得税及び法人税に係る優良な電子帳簿の範囲を明確化されます。
(2)国税関係書類に係るスキャナ保存制度
制度の利用促進を図る観点から、更なる要件の緩和措置が講じられます。
(3)電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度については、システム対応が間に合わなかったことにつき相当の理由がある事業者等に対する新たな猶予措置を講ずるとともに、他者から受領した電子データとの同一性が確保された電磁的記録の保存を推進する観点から、検索機能の確保の要件について緩和措置が講じられます。
(注1)
(1)の優良な電子帳簿の範囲は次の通りとされます。
@
仕訳帳
A
総勘定元帳
B
次に掲げる事項(申告所得税に係る優良な電子帳簿にあっては、ニに掲げる事項を除く)の記載に係る上記@及びA以外の帳簿
手形(融通手形を除く。)上の債権債務に関する事項
売掛金(未収加工料その他売掛金と同様の性質を有するものを含む)その他債権に関する事項(当座預金の預け入れおよび引き出しに関する事項を除く)
買掛金(未払加工料その他買掛金と同様の性質を有するものを含む)その他債務に関する事項
有価証券(商品であるものを除く。)に関する事項
減価償却資産に関する事項
繰延資産に関する事項
売上げ(加工その他の役務の給付その他売上げと同様の性質を有するもの等を含む)その他収入に関する事項
仕入れその他経費又は費用(法人税に係る優良な電子帳簿にあっては、賃金、給料手当、法定福利費及び厚生費を除く)に関する事項
(注2)
(1)の改正は、令和6年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用されます。
(注3)
(2)の緩和措置の内容は以下の通りです。
@
国税関係書類をスキャナで読み取った際の解像度、階調及び大きさに関する情報の保存要件を廃止する。
A
国税関係書類に係る記録事項の入力者等に関する情報の確認要件を廃止する。
B
相互関連性要件について、国税関係書類に関連する国税関係帳簿の記録事項との間において、相互にその関 連性を確認することができるようにしておくこととされる書類を、契約書・領収書等の重要書類に限定する。
(注4)
(2)の改正は、令和6年1月1日以後に保存が行われる国税関係書類について適用されます。
(注5)
電子取引とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいいます。
(注6)
(3)の改正は、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録について適用されます。
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