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![]() ![]() 第102回 障害年金の請求(請求するかしないかの判断)
![]() 引き続き障害年金の特徴
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前回に引き続き障害年金の請求の話です。
障害年金は、前回触れた手続の難しさに加え、難しい手続をしたとしても、確実に貰えるかどうか分からない。ここも請求に関してとても大きな問題になります。 老齢年金は一定の年齢に達したら、遺族年金は被保険者(受給権者)の死亡により、年金が発生しますから、年金が発生すること自体に「もめることは少ない」のですが、障害に関しては、「規定の障害状態になっているか否か」が客観的には判断しづらいため、もめることも多いのです。これは、不服申立て件数について障害年金に関するものが、老齢、遺族年金に比して多いことからも明らかです。 これについては、民間の生命保険会社での保険金や給付金の支払いの際、「死亡」のほうが「高度障害状態」よりも分かりやすいことを連想すれば、容易に理解できると思います。 何が高度障害状態かというと、とても微妙です。生命保険文化センターのウェブサイトには高度障害状態の例示がされており、「両目の視力を完全に失った」というような、誰の目にも基準が明らかなものもありますが、「中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの」という分かりにくいものもあります。どの程度の状態になったら終身介護を要するものなのか、保険金を請求できるのか、本当に判断が微妙になるでしょう。 ![]() 貰える可能性がとても高い場合は当然ながら楽
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障害年金の手続をするにあたって、年金が貰えるのかどうかは非常に気になるところ。本人もそうですが、代理として手続を行う人間も気が気ではありません。
老後の年金とか遺族年金なら貰えるのが100%確実であって、「貰えますよ」と断言できる場合が普通ですが、障害年金に関しては断言できません。 もちろん、脳梗塞で完全に寝たきりになってしまったというように病状が重篤な場合は、とても不幸なことですが、「こんな重い障害ならば年金は貰える」という点が明白になりますので、貰えるか貰えないかをあまり考慮しなくて済むことになり、判断はとても楽です。 また、人工透析を開始したり、人工骨頭、心臓ペースメーカーを装着したりした場合などは、相場(人工透析は2級、心臓ペースメーカーは3級など)があり、そう外れた認定はされないのが普通です(100%とは保証しかねるので言い回しは慎重になりますが)。この場合もとても楽です。 ![]() ベテランは相場観で動く
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障害年金のベテランになると年金手続の相場観(障害状態からして貰えるか貰えないか、貰えるなら等級(障害1級とか2級とか)が何級になるか)がしっかりしており、無意味な請求はしないと聞きます。医師に診断書を書いてもらう費用も、そんなに安くはないですし、年金を手続きする方は、もちろん年金をもらえるだろうという期待をしているわけですから、期待に背いた結果がでるような手続はできるだけ避けたいと思うのは当然です。私はそんなベテランの域にはまだまだ遠いですから、そんな相場観はないのですが。
![]() では相場観のない人はどうしたらいいのか
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一般人である障害者自身には、そういう相場観などないのが当たり前です。いや、年金のプロであっても、障害年金だけに特化している人以外はそんなにたくさんの事例をこなしていないので、相場観ができていないのが普通です。
そこで、厚生労働省の認定基準というのがあります。 http://maroon.typepad.com/files/h22-11_shougai-nenkin-kijun_kaisei.pdf (かなり膨大な分量ですので、ダウンロードに際してはブロードバンド以外の方はご注意ください) 私が、障害年金の相談を受けたときにアドバイスしている方法は、まずお客さまから病状や障害の状態を聞き、該当箇所の傷病の判定基準の部分をプリントアウトし、お客さまに次の診療時に病院に持って行っていただき、主治医に「この障害等級で年金を請求してみたいけれど現状からして認められるだろうか?」とご意見をお聞きし、もし医師が「大丈夫じゃないかな」とOKを出されるのならやってみてはどうか、という方法です。 もちろん、主治医が障害年金の可否を判断するわけでもありませんので、医師がOKなのに請求の結果がNoということもあるでしょう。その点で、もし悪い結果になっても医師に文句は言えません。しかし、素人がいろいろと悩んでいるよりははるかに専門家(=医師)としてのオピニオンは有用です。 貰えるか貰えないか、この部分については、年金事務所の相談担当者も(医学知識に関しては)素人ですから、年金事務所でも「…じゃないかな」的アドバイスにとどまり、的確な相談とならない場合もあります。 ![]() ![]() 2010.12.13
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