第30回 ねんきん特別便の送付が始まります(2)
記録を確認しましょう

社会保険庁からのねんきん特別便ですが、社会保険庁発表の資料は以下のURLからご覧いただけます。
社会保険庁HP 「ねんきん特別便」送付の流れと確認結果の記載例について
→http://www.sia.go.jp/top/kaikaku/kiroku/pdf/nenkin1-1.pdf
順番として、まず社会保険庁からねんきん特別便が送付されてきます。その中には年金の加入記録が載っているお知らせが入っています。
ねんきん特別便が送られて来たら、その記録が正しいかどうか眼を皿のようにしてチェックしてください。
明らかに働いていた厚生年金期間が漏れていたり、あるいは、国民年金の保険料を納付していたのに納付されていないことになっている期間があれば、それを申し立てる必要があります。
ただ残念なことに、この記録「物凄く見づらい」のです。基本的には現在58歳になった人全員に送付している年金の納付記録と同じですが、年金相談でも「何を書いてあるかわからない」と言われるお客さんが少なくないのです。特に一番下の段あたりがややこしいところです。
一例をあげると、国民年金欄(社会保険庁の見本ではGとなっている部分)には、国民年金加入月数と納付免除が別々に表示されています。サンプルでは、月数152と月数94と書いているのですが、国民年金の加入月数というのはあくまでも国民年金に加入していた期間の合計で、未納滞納期間は考慮されていません。基本的に〔納付+免除の期間=加入月数〕であれば、未納や滞納はゼロですが、その差が有る人には未納期間があるということです。社会保険庁のサンプルには58ヶ月間の未納期間があります。解説のリーフレットでも、何ヶ月未納があるかは、引き算をして計算しなさいという風にでています。
実は、未納期間がいつ頃からいつ頃までであったかは送られてきた記録からではわかりません。そこが知りたければ社会保険事務所に問い合わせなさい(あるいは電話しなさい)ということです。でも、保険料を納付したのに未納滞納になっていて「変だな?」という場合、その期間が何年何月から何年何月までかがわからないとはっきりしない筈です。わざわざ、記録が正しいかどうかを確認してください、といいながら不完全な記録を送付しているわけで、どうも納得がいかない点です。国民年金の未納期間が具体的にいつかというのは社会保険庁でわかるわけですから、それを明示してもよかった気がします。
その他に、厚生年金と船員保険の記載欄がありますが、坑内員や船員の方のみ関係がある欄です。坑内員や船員はその仕事が厳しいため、加入期間等に割増の措置がありました。その期間と割増の期間を表示しているのですが、大多数の国民には無関係なことですから、坑内員、船員の期間が無い人には表示しないなどの工夫があってもよかったような気がします。

記録訂正は既に年金を貰っている人とまだ貰っていない人で違います
さて、記録のチェックが終わって、書いてある内容に間違いないのであれば、間違いない旨のハガキを返送します。はがきを送付して終了です。
間違いがある場合は、既に年金を貰っている人とこれから貰う人の間に手続きの差が出てきます。
これから年金を受給される人は、同封の年金加入記録表に間違いの記録の訂正(正しい加入記録)を書いて、封書でそれを社会保険業務センターへ返送します。
しかし、既に年金を受給している人は、その訂正記録を、直接社会保険事務所や年金相談センターに持参(郵送も可能となっているようですが一旦照会が必要なようです)します。年金受給中の人の場合は、直ちに年金額が変わってきますから手続き等が複雑になります。
あせらずじっくり
年金時効特例法で、年金記録の漏れ等による年金の未払い分については、時効の適用をせず、全期間分を遡って支給されることになりました。ですから、今回のねんきん特別便も決してあせる必要はありません。よくわからなければ、知っている人に聞くなり社会保険事務所に聞くなりして、納得してから手続きを行ってください。
2007.12.17
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執筆者:桶谷 浩
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[経歴・バックグラウンド]
大学卒業後、生命保険会社に勤務その後退職し、学習塾等に勤務
2001年社会保険労務士として独立開業
2002年FP登録(AFP、後CFPに)
現在、公的年金を中心に据え、成年後見・介護制度を併せて、広く老後の生活設計を考えるというテーマで、相談業務、講演、執筆など活動中。
2007年4月に合同会社電脳年金を立ち上げ。
[保有資格]
社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP)、行政書士
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