第46回 特別便と旧法の年金
公的年金3Kとは
公的年金では、特にわかりにくい3K( 共済(公務員、私学教職員)、基金(厚生年金基金)、旧法(昭和61年3月まで適用されていた法律による、厚生年金、国民年金)というものがあります。
その3つのうちの1つ、旧法については昨年までは「あまり出くわさないなあ」という感じで気楽に構えていました、ベテランの方によると「10年前は結構あったんだけどねえ」ということ。正直旧法は数が少ないですからその場でわからなければ後日回答させていただくことで事が足りる程度で、悩んだりしたこともあまりなかったのです。
ところが、今年の年金相談ではその様相が一変しました。この前の年金相談会では、大正生まれで旧法を適用されている方がたくさん訪れて相当数の相談をお受けしました。長年年金相談を受けていらっしゃる方なら軽くこなせるのでしょうが、多くの年金相談担当は旧法の知識はあまり多くないので対応が大変です。
旧法の勉強はしたほうがいい?
最近、とある年金初心者の方から年金の勉強についてご相談を受けました。
今は年金相談の現場では、「旧法がわからないと仕事にならない」というような状況なのですが、「今現在、本当にそういう勉強をしていて必要になるのですか、すぐ無駄になるような気がして実が入らないのですが?」 というような趣旨でした。
正直この「年金特別便がどの程度尾を引くのかわかりません。旧法を適用されている方は、老齢の場合80歳を過ぎられていらっしゃるのですから減る一方です。
私は年金を勉強し始めてから、ぼんやりと年金がわかるまでは2,3年はかかると思っています。勉強を始めて、そこまでがんばって気がついたら旧法はまた影を潜めているようになっているかもしれません。
しかし旧法はこれからあと40年は生き続けます。今40代だけれども、20代で夫が亡くなって遺族年金を受けているがその年金は旧法。そういう方もいらっしゃいます。そうなるとこの方がお亡くなりになるであろうあと40年先までは昭和61年に使わなくなった旧法とはいえ延々と該当者がいるということになります。
ですから、一般的な常識としての範囲で年金の専門家は旧法を押さえておく必要があります。それでは常識的範囲はどこまでですか? と聞かれてもその答えはわかりませんが…。
保険セールスでは過去のことに深くこだわる必要はない
生命保険のセールス現場では旧法の問題はあまり起きません。「お客様が将来歳を取ったら、あるいは病気やケガをしたら、さらには亡くなった場合には公的年金は○○万円くらいと予想されますので、保障は少し不足しています。公的年金以外の万一の場合の準備としてこれくらいの上積みをしたほうがよろしいのではないですか? 」という形でのセールスに使うための年金の題材としては、過去に存在した年金制度を知る必要はあまりないのです。
もちろん古い制度を知っておくに越したことはありませんが、面倒な部分をスルーしてもあまり問題が大きくないというのは勉強の上では大きいです。
銀行や信金、信組といった金融機関の方は、お客様に代わって年金の受給手続をするの立場上、いろいろな周辺知識も必要となってきますので、なかなか年金の敷居は高いです。しかし保険を募集する場合の年金学習に関してはすこし敷居が低いわけです。年金を勉強するのは難しいから嫌だとしり込みされている方も、自分が使える範囲に絞り込んで年金勉強するのは可能です。
ぜひチャレンジしてみてください。
2008.07.28
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執筆者:桶谷 浩
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[経歴・バックグラウンド]
大学卒業後、生命保険会社に勤務その後退職し、学習塾等に勤務
2001年社会保険労務士として独立開業
2002年FP登録(AFP、後CFPに)
現在、公的年金を中心に据え、成年後見・介護制度を併せて、広く老後の生活設計を考えるというテーマで、相談業務、講演、執筆など活動中。
2007年4月に合同会社電脳年金を立ち上げ。
[保有資格]
社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP)、行政書士
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