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知ってビックリ!年金のはなし
第57回 年金にみるありがたい親の心
 
子どものために年金をかけていた親が少なからずいる
  1月12日は成人の日でした。晴れ着やスーツに身を包んだ初々しい若者の姿を街中で目にすることができました。
  さて、20歳という人生の節目、年金関係では「国民年金に加入する年齢」ということが思い浮かびます。これは同時に年金に入るという権利でもあります。

  年金相談をしていると、「自分は全く記憶にないのに国民年金の保険料を支払ってあった」という人がたまにいらっしゃいます。
  本人が学生時代、親御さんが「子どもの将来のために」保険料を納付されていた場合には、まだ若いということもあり、年金などに全く関心がなく、知らない間に納付されているのが普通です。あるいは当時本人が分かっていてもその後忘れているかもしれません。
  本人が、60歳になり65歳になり、年金を請求するときになって、「あれ、自分は23歳のときに就職して、それから保険料を払った(以前は学生であれば納付義務がありませんでした)のに、20歳から保険料を納付したことになっていておかしいな」と思って確認すると、「親御さんがその当時の保険料を払っていらっしゃった」ことが分かったりします。大変ありがたいことです。

  相談を受けていても、子どもに対する親の思いが伝わってきてほろりとするものです。
昔は、学生が年金保険料を払えることすら知らない人が多かった
  こんなふうに保険料を払っているというのはすごいことなのですが、それよりすごいのは「学生でも国民年金の保険料を払えることを親御さんが知っていた」ということなのです。
  大学生でいる間が任意加入期間であったとしても、その周知は以前は全くされていませんでした。ですから100人の学生のうち99人は保険料を納付していなかったと聞いたことがあります。これは「大学生でも国民年金に入れることを知らなかった」人が国民の大多数であったことの表れだと思います。国民年金に入れることを知っていたら「子どもの将来のために保険料を納めたのに…」と後でおっしゃる人も現実にいらっしゃるのです。

  このことが周知されていれば、学生時代に事故等で障害状態になっても、保険料を納付していないために「無年金となってしまった(現在は別の法律で救済されていますが)不幸な事例」も、その数が減っていたかもしれません。
20歳になったら国民年金に加入します
  さて、20歳になったら国民年金に加入するのですが、どういう手続をするのでしょう。某市役所のサイトを覗いてみましょう。基本的なことはすべて書いてあります。

  「加入の手続きについて」
  20歳の誕生月の上旬までに社会保険事務所から「国民年金のご案内(兼加入届)」が送付されます。必要事項
  をご記入の上、誕生月の末日までに窓口に提出して、加入の手続きを行ってください。後日年金手帳と納付書
  が社会保険事務所から送付されます。
  なお、期日までに届出がない場合、第1号被保険者として国民年金に加入しなければならない人であると判断
  され、年金手帳と納付書が後日送付されます。

  国民年金のご案内(兼加入届サンプル)        http://www.city.machida.tokyo.jp//kurashi/nenkin/d_nenkin03_y/nenkin03/files/kanyutodokeimg010.pdf

  中学または高校を卒業して既に会社(または役所)にお勤めの方は、厚生年金(共済年金)に加入されていますので特に手続は必要ありませんが、お仕事をされてない方(学生等)は、この時点で加入の手続が必要となります。

  手続をしないで放置しておいても、結局最後は市区町村役場から手帳と納付書が送られる、との説明がされています。しかし、手続が遅れれば保険料の納付も遅れて未納の原因となりますし、その間に交通事故にあって障害年金に該当する状態なのに年金がもらえない、という可能性もゼロではありません。いずれにせよ手続は必要なのですから、なるべく早いうちに済ませておきましょう。
2009.02.02
執筆者:桶谷 浩
[経歴・バックグラウンド]
大学卒業後、生命保険会社に勤務その後退職し、学習塾等に勤務
2001年社会保険労務士として独立開業
2002年FP登録(AFP、後CFPに)
現在、公的年金を中心に据え、成年後見・介護制度を併せて、広く老後の生活設計を考えるというテーマで、相談業務、講演、執筆など活動中。

2007年4月に合同会社電脳年金を立ち上げ。
[保有資格]
社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP)、行政書士
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