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知ってビックリ!年金のはなし
第88回 在職老齢年金の調整額が変更になりました(2)
 
前回に続いての話です
  前回に続いて、平成22年4月からの在職老齢年金の調整について説明いたします。前回からの続きになりますので、第87回と併せてお読みください。
平成22年4月からは(2)…65歳以降の人
  今回問題となるのは65歳以降の方です。
  65歳以降で年金が調整開始される額が47万円に変更になります。以下説明しましょう。

  多額の報酬を貰っている方は年金(老齢厚生年金の報酬比例で計算された部分)+報酬(総報酬月額相当額)が47万円を超えた額の半分をカットするという方法で在職老齢の年金額を計算しますから今回の変更は当然影響があります。
  こういう方は年金額の減額の金額がさらに増える、あるいは今まで全額停止されなかったのに全額停止になるということになります。
<例>   平成22年4月から給与50万円 年金が12万円のとき
    調整(停止)額 7.5万円(支給額4.5万円)
  平成22年3月までの、48万円での調整では、
    調整(停止)額 7万円(支給額5万円)でした。
  報酬が高い場合、停止額増額という影響が全員の方に現れます。
  ただしこの調整は標準報酬額で判断されますので標準報酬等級が25等級(標準報酬月額455,000円以上485,000円未満)の人は、47万円の給与を貰っていようが、48万円の給与を貰っていようが、いずれも事務上は47万円で処理されますので、「報酬≠実際の額面金額」であることに注意が必要です。
同じ47万円ですが意味が違います
  60〜64歳のときの説明で、48万円が47万円に変わるのはほとんど影響がないと書いたのに、65歳からの変更は該当者全員に影響があるってどういうこと? と頭の中が混乱してしまった方、くどいようですが念のためもう一度確認をしましょう。

  例えば63歳で給与30万円という場合の年金の調整は“28万円”という数字を基準に開始されます。48万円が47万円という変更は開始ポイントではありません。

  しかし66歳で給与50万円であるというような場合に使う年金の調整額“47万円”は調整開始の額です。
  つまり調整額の計算上、60〜64歳の場合の28万円に相当する額が47万円なのです。しかも47万円は報酬(総報酬月額相当額)+年金額(基本月額)ですから年金が高ければ給与が40万円を切る場合でも調整がかかる場合があります。65歳を過ぎている人の在職老齢には影響が大きい数字です。
  今回の改正の中心は65歳以上の人の在職老齢です。47万円という同じ額を使っているので混同してしまいますが、60歳台前半の人よりも60歳台後半の方々に影響が大きい改正ということに気を付けましょう。
2010.05.24
執筆者:桶谷 浩
[経歴・バックグラウンド]
大学卒業後、生命保険会社に勤務その後退職し、学習塾等に勤務
2001年社会保険労務士として独立開業
2002年FP登録(AFP、後CFPに)
現在、公的年金を中心に据え、成年後見・介護制度を併せて、広く老後の生活設計を考えるというテーマで、相談業務、講演、執筆など活動中。

2007年4月に合同会社電脳年金を立ち上げ。
[保有資格]
社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP)、行政書士
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