最近の税制改正の動向をみていると、単に次年度の税制改正内容について書かれていることにとどまらず、さらにその先の税制改正の方向性についても触れられています。例えば、今回の生命保険料控除の改組についていうと、実は「平成20年度税制改正」における「検討事項」という項目に「生損保控除について、少子・長寿化が進展する中で、課税のあり方を検討する」と書かれていて、それを受けたものとなっています。
このように、「税制改正大綱」の最後のほうに書かれる「検討事項」という部分も大切ですので、最後に重要と思われるところを触れておきます。
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環境先進国として、税制のグリーン化を推進し、環境税については、税制全体のグリーン化を図る観点から課税の効果など総合的に検討します。 |
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扶養控除のあり方を検討するとともに、少子化対策のための財源確保について、税制抜本改革の中で検討します。 |
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要援護高齢者等の介護費用に係る税制上の措置については、税制抜本改革における特別な人的控除の見直しも踏まえて具体的な検討を行います。 |
4. |
企業年金、確定拠出年金等に係る税制については、拠出・運用・給付段階を通じた課税のあり方について抜本的な見直しを行います。併せて、個人型確定拠出年金の対象者のあり方についても引き続き検討を行います。 |
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納税者番号制度は、適正・公平な課税を実現するためにも必要不可欠ですので、今後与党内において検討会を立ち上げて、制度導入に向けて精力的に議論を行います。 |
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小規模企業共済制度および中小企業退職金共済制度の加入者の範囲の見直しについては、今後、各制度における加入対象者の範囲の見直しが行われる際には、新規加入者の制度上の位置付け等を勘案して、その掛金等の税制上の取扱いについて措置します。 |
7. |
市街化区域内農地については、相続税の納税猶予制度のあり方の見直しを検討します。また、信託を利用した事業承継については、平成21年度中に中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律において株式と実質的に同一視できる信託受益権の範囲を法令上明確にした上で、納税猶予制度の適用に係る検討を行います。
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