> 平成25年度税制改正速報! > 「縮小均衡の分配政策」から「成長と富の創出の好循環」へ |
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「縮小均衡の分配政策」から「成長と富の創出の好循環」へ![]() |
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アベノミクスに代表される「三本の矢」とは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略です。今回の平成25年度税制改正大綱においても、これらを積極的に推し進めて「縮小均衡の分配政策」から「成長と富の創出の好循環」へと経済を転換させていこうという内容になっています。このことは、消費税増税を着実に実施するための施策でもあります。
例えば、国内における設備投資へのインセンティブを広く付与する「生産等設備投資促進税制」や「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」が新たに創設されました。また、企業における将来の成長の礎となる研究開発投資を促進する観点から、「研究開発税制の拡充」も盛り込まれました。更には、人材育成・雇用対策の観点から「所得拡大促進税制の創設」や「雇用促進税制の拡充」が図られています。 他にも、中小企業向けの減税措置も目白押しで、交際費枠を600万円から800万円にして全損扱いができるようにと「交際費枠の拡充」や、現在利用が進んでいない事業承継税制についても「親族外承継も認める」など多くの緩和措置が盛り込まれています。 金融・証券税制においては、少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置として「日本版ISAの創設及び拡充」、金融所得課税の一体化の観点から「公社債等と上場株式等を損益通算できるよう新たな規定の創設」などが記載されています。 一方、消費税増税の地ならしとして、富裕層に対する課税強化策も盛り込まれています。例えば、個人の所得税について課税所得4,000万円超について新たに「45%の税率」が設けられました。また、相続税についても、「基礎控除の4割縮小」、「取得金額2億円超について税率のアップ」などが記載されています。しかし一方、小規模宅地等の特例においては、「居住用宅地の限度面積の拡大」や「居住用宅地と事業用宅地の完全併用を可能とする」などの措置が図られています。 贈与税については、高齢者のもっている資産を現役世代に移行できれば経済の活性化に資するという観点から、「税率の緩和措置」や「教育資金の1,500万円一括贈与制度」などが盛り込まれました。 他にも消費税引き上げに伴う措置として、「住宅ローン減税の拡充」なども記載されています。 ちなみに以前、社会保障・税一体改革において記載のあった「死亡保険金における相続税の非課税措置の厳格化」は今回の大綱には盛り込まれていません。 今回の税制改正は非常に大型で内容が多岐に渡りそれぞれの内容も濃いものであるという特徴がありますが、上記以外にも増税項目として、私募債を利用した節税策封じとして「同族会社が発行した私募債の利子を総合課税扱いとする」や、「上場株と非上場株との損益通算を規制するための措置」、「収入が7,000万円を超える場合の医療機関における概算経費への規制」などが記載されています。 また減税項目としても、小規模宅地等の特例において「2世帯住宅の要件緩和」や「老人ホーム入居の場合の要件緩和」、「工事請負契約書や不動産譲渡契約書に係る印紙税の大幅引き下げ」、「領収書等に係る印紙税の非課税金額の引き上げ(3万円から5万円に)」などが記載されています。 これらは新聞などではほとんど報道されていませんが、影響の大きい改正項目ではないかと思います。 一方、今回の改正は非常に項目が多くその適用時期も様々ですので、改正の内容だけに留まらずその適用(予定)時期についてもご注意ください。 ![]() 平成25年2月1日
![]() マネーコンシェルジュ税理士法人 代表税理士 今村 仁
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