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U.年末の大綱編
第6部 納税環境整備
第1章 猶予制度の見直し
■ 換価の猶予の特例(申請)の創設
  @ 国税を一時に納付することにより、滞納者の事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがある場合、その滞納者が納税について誠実な意思を有すると認められ、その国税の納期限から6カ月以内にその滞納者の申請に基づき、税務署長は1年以内の期間に限り、「換価の猶予」※1をすることができる。
  ただし、その申請に係る国税以外の国税(猶予の申請中の国税および一定の猶予中の国税を除く)について滞納がある場合は、換価の猶予の対象とはならない。
※1  差押えた財産を公売(入札による売却)したり、金融機関などの第三債務者に差押えた債権の交付を要求するなどして、差押財産を金銭に換えること。
  A 上記@の換価の猶予をする場合には、その猶予に係る国税(その納付を困難とする金額として、滞納国税の額から納付可能な額を控除した一定の額を限度とする)の納付については、税務署長がやむを得ない理由があると認める場合を除き、その猶予期間内において、毎月納付の方法により、その猶予に係る金額をその者の財産の状況および納付能力からみて合理的かつ妥当なものに分割して納付させなければならない。
  B 上記@の換価の猶予をした場合において、その猶予をした期間内にその猶予をした金額を納付することができないやむを得ない理由があると税務署長が認めるときは、滞納者の申請に基づき、その期間を延長(当初の猶予期間と併せて2年間を限度)することができる。
  C 換価の猶予(その猶予期間の延長を含む)の申請をしようとする者は、次の事項を記載した申請書に、財産目録および収支の状況等を明らかにする一定の書類を添付したうえで提出しなければならない。
    イ  国税を一時に納付することにより、その事業の継続もしくはその生活の維持を困難にする事情の詳細または猶予期間を延長する場合のその期間内に納付することができない理由
    ロ  猶予を受けようとする金額およびその分割納付の方法
    ハ  担保の種類、数量、価額および所在その他担保に関し参考となるべき事項
    ニ  その他必要な事項
  D 上記の他、延滞税の軽減については換価の猶予(職権)と同様とし、担保の徴取基準、猶予の申請手続(猶予の不許可事由、申請に係る補正の手続等、猶予の取消事由)については、見直し後の納税の猶予(下記「■納税の猶予および換価の猶予(職権)の見直し」の@およびCからEまでを参照)と同様とする。
  上記の改正は、平成27年4月1日以後に納期限が到来する国税について適用とする。
■ 納税の猶予および換価の猶予(職権)の見直し
  @担保の徴取基準の見直し
    イ  要担保徴取額の最低限度額を100万円(現行50万円)に引き上げる。
所得税および相続税の延納の担保ならびに移転価格税制に係る納税の猶予の担保についても同様とする。
    ロ  猶予期間が3カ月以内の場合には担保を不要とする。
所得税の延納の担保および移転価格税制に係る納税の猶予の担保についても同様とする。
  A納付方法の見直し
    イ  納税の猶予をする場合
その猶予期間内において、その猶予に係る金額を、その者の財産の状況および納付能力からみて合理的かつ妥当なものに分割して納付する方法を定めることができる。
    ロ  換価の猶予をする場合
上記「■換価の猶予の特例(申請)の創設」Aと同様とする。
  B申請・添付書類の整備
    イ  納税の猶予(その猶予期間の延長を含む)の申請をしようとする者は、その猶予の種類等に応じ、猶予該当事実の詳細、猶予を受けようとする金額・期間、分割納付の方法その他必要な事項を記載した申請書に、猶予該当事実を明らかにする書類、財産目録および収支の状況等を明らかにする一定の書類を添付(災害等による納税の猶予の場合で提出が困難な場合を除く)したうえで提出しなければならない。
    ロ  換価の猶予(その猶予期間の延長を含む)をする場合において、税務署長は、必要があると認める場合には、財産目録および収支の状況等を明らかにする一定の書類が添付された分割納付計画書の提出を求めることができる。
  C猶予の不許可事由の整備
  税務署長は、納税の猶予(その猶予期間の延長を含む)の申請があった場合において、次のいずれかに該当するときは、その猶予を認めないことができる。
    イ  滞納者の財産につき強制換価手続が開始された場合等一定の場合において、その者がその猶予に係る国税を猶予期間内に完納することができないと認められるとき
    ロ  申請に係る事項についての職員の質問に対して答弁せず、または検査を拒み、妨げ、もしくは忌避したとき
    ハ  不当な目的で猶予の申請がなされたとき、その他その申請が誠実にされたものでないとき
  D申請に係る補正の手続等
  提出された申請書もしくは必要な提出書類について記載不備があった場合または必要な提出書類の提出がなかった場合には、税務署長はこれらの書類の補正または提出を申請者に請求することができる。この場合において、請求後20日以内にこれらの書類について補正または提出がされなかった場合には、納税の猶予(その猶予期間の延長を含む)の申請は取り下げたものとみなす。
  E猶予の取消事由の整備
  猶予の取消し(猶予期間の短縮を含む)の事由について、次の場合をその対象に加える。
    イ  上記Aにより定めた分割納付の方法により国税を納付しないとき(税務署長がやむを得ない理由があると認めるときを除く)
    ロ  新たに猶予に係る国税以外の国税を滞納したとき(税務署長がやむを得ない理由があると認めるときを除く)
    ハ  偽りその他不正な手段により猶予の申請がされ、その申請に基づき猶予をしたことが判明したとき
  F納税の猶予の申請に関する調査に係る質問検査権の規定を整備する。
  上記の改正は、平成27年4月1日以後に行われる納税の猶予の申請または同日以後に行われる換価の猶予に係る国税について適用する。
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