> 平成28年度税制改正速報! > はじめに |
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消費税の軽減税率をめぐる問題で、与党内で右へ左へと迷走がありましたが、ほぼ例年通りの12月中旬(16日)に、「平成28年度(2016年度)税制改正大綱」が公表されました。
概観すると、たいした増税項目がなく減税中心で、法人実効税率「20%台」の実現をはじめとした「黒字企業を奨励」した項目が目を引く程度で、消費税の軽減税率をめぐり大切な税制議論の時間を浪費したことが大きく影響したことから、今回は比較的小粒な改正内容となっています。 消費税の軽減税率以外の主要改正項目を見ていくと、企業向けとしては、先述の「法人実効税率の引き下げ」、「企業版ふるさと納税の創設」、「雇用促進税制及び少額減価償却制度の条件付きでの延長」、「減価償却制度の見直し」などとなっています。 一方、個人向けとしては、「3世代同居改修工事に対する減税措置」、「セルフメディケーション(自主服薬)推進のためのスイッチ0TC薬控除の創設」、「生命保険料控除証明書等の電磁的記録関係の改正」などとなっています。 他にも、資産税項目として、「空き家売却3,000万円控除の創設」、「農地保有に係る課税の強化と軽減」や「農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し」などがあります。 あまり報道されていない項目の中で影響が大きいのではないかと思われるのが、「クレジットカードの納付制度の創設」や「加算税制度の見直し」ではないかと思いますので、詳細はこの記事の中でご確認ください。 税制によって国の姿が創られていく部分が多分にあります。現政権になってからひたすら減税措置を行い、一時的な税収の上振れはあるものの、財源不明のまま消費税の軽減税率を押し切った問題も含めて、将来に向かっての安定的な歳入と歳出のバランスはいまだ見いだせていません。当然ながら、単年度での歳入と歳出をはかるプライマリーバランスは赤字続きです。つまり、我々を含めた大人達が子供達の世代に負担を押し付けている構図は、相も変わらぬままです。 減税でも財政出動でも何でもやって、物価上昇、インフレ基調にもっていき、企業や個人が経済成長していく中で日本の財政収支の均衡を図っていこうというのが、現政権が発足以来3年続けている手法です。いわゆる従来からある古典的なやり方でもあります。 一方、日本は、世界のトップランナーとして少子高齢化の道を突き進んでいます。トップランナーですから、少子高齢化について他国からそのまま学ぶことはできませんので、新しいオリジナルの議論が必要です。 私見を申し上げると、少子高齢化が進み、移民を受け入れる素地のない国では、当然に、若者が減り高齢者が増えていきますが、そんな中で経済のパイが大きくなることを目指すというのは、そもそもナンセンスです。逆に政治や税制が目指すべきは、デフレであっても経済的にも精神的にも豊かになれる道です。年をとってもちゃんと幸せになれる道です。政治家は当たり前に、国家100年の計を考えて仕事をしてほしいと思います。 また、軽減税率についても、他国がやっているから世界標準だといってそのまま古い制度を踏襲するのではなくて、日本オリジナルの制度を構築すべきではなかったのかと思います。そもそも軽減税率の制度趣旨は、低所得者対策ですから、そうであればマイナンバー制度を使って経済環境のひっ迫している人に給付金等を正確に支給するようにすればよかったのではないでしょうか。軽減税率による効果は、報道を見ると年間1万数千円/人とのことです。そのために、日本全体が疲弊するような制度を作って誰が得をするというのでしょうか。誤解を恐れずに申し上げるならば、低所得者対策というのを錦の御旗のように扱うのはそろそろやめるべきだと思います。手をこまねいていれば、早晩、日本全体が沈んでいくようにも感じます。 ![]() ![]() 平成28年1月8日
![]() マネーコンシェルジュ税理士法人/相続承継M&Aセンター(株)
代表税理士 今村 仁 ![]() |
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