>  今週のトピックス >  No.1158
5年ぶりとなる日経平均株価1万5,000円台
●  わずか3カ月で約3,000円の上昇
  東京株式市場で日経平均株価が11月末、5年ぶりに1万5,000円台を回復し、その後も堅調に推移している。わずか3カ月前の8月末には1万2,000円台(本欄「今週のトピックス」1094参照)であったが、その後の急ピッチの株価上昇は、専門家でもほとんどの人が予想できなかった。今後もこのようなハイペースで株価上昇は続くのだろうか。
●  株高の要因は好調な米国経済
  経済を知る人ほど、ここまで急激な株高は予想できなかったかもしれない。米国での継続的な金融引き締めや相次ぐハリケーンの襲来、長引く原油高の影響などで、米国株式相場は低迷すると見られていた。それに連れて、日本の株式市場が伸び悩むという見方はむしろ自然だった。
  ところが、原油高で所得が増えた産油国は消費財などの輸入を拡大し、余剰資金は株式投資に向かった。最近では堅調な米国株式市場を反映して、日本のハイテク関連株が上昇。その結果、ハイテク株の影響を受けやすい日経平均株価の上昇を加速させた。
  今後、国内の株高が続くかは、米国株式相場の動向が一つのカギだ。米金利引き上げが長引くと好景気が減速し、株価が下落。日本株に波及する恐れもある。
●  企業業績は好調を持続しそうだが・・・
  肝心の国内における企業業績は好調を持続している。上場企業全体の2006年3月期連結経常利益は3期連続で過去最高を更新する見通しで、達成すればバブル期以来のこととなる。円安・ドル高の進行は自動車産業など輸出企業の収益を押し上げる。デフレ脱却も近そうな傾向にあり、企業が売り上げを伸ばせば、07年3月期も最高益を更新という見方は根強い。
  ただ予想PER(株価収益率)で見ると、日本株は決して割安な水準ではなくなってきている。PERとは株価が一株利益(純利益を株式数で割ったもの)の何倍まで買われているかを見る指標で、倍率が高いほど割高といえる。世界の主要株式市場のPERはおおむね15〜20倍に分布する。
  東証上場企業の平均PERは、最近の株高で22倍程度まで上昇している。つまり、現状は世界の市場と比較するとやや割高感が出てきている。これを嫌う外国人投資家などが日本株の売却に動けば、株価が一気に下落するリスクもないとは言い切れない。
  経済誌や週刊誌を見ると、最近は株式投資の企画がオンパレードで、株高にあやかろうと素人投資家が急増している。こうしたミニバブルも株高の一要因だ。
  日本企業の足取りは確かで、長期的な上昇トレンドにあることは間違いなさそうだが、あまりに急速な上昇とミニバブルへの懸念から、一時的に調整局面に入るのではという観測が増えていることも忘れてはならない。
2005.12.19
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