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村上ショック? 日経平均が7カ月ぶり1万5,000円割れ
●  逮捕の影響は限定的
  村上ファンドの村上世彰・前代表がインサイダー取引の容疑で逮捕されたことをきっかけに、株価が急落している。東京株式市場では6月9日に日経平均株価の終値が約7カ月ぶりに1万5,000円を下回った。ライブドア・ショックで1月18日に付けた1万5,341円を下回る水準まで落ち込んだが、不思議なことに、今回の株安を「村上ショック」と名付ける風潮はあまりない。
  その理由は大きく二つ考えられる。「もの言う株主」として阪神電気鉄道株の買い占めなどで世間を騒がせた村上ファンドだが、運用規模は4,000億円。一つのファンドとしては小さくないが、東証一部の時価総額が500兆円を超えるのに比べれば、村上ファンドの規模はたとえ保有株すべてを売り払ったとしても微々たるものだ。同ファンドに追随して株を買っていた投資家が慌てて売った程くらいのものである。新興市場へのインパクトが大きかったライブドア・ショックと比べると影響は限定的とみられている。
●  世界同時株安
  もう一つの理由は村上ファンドとは関係なく、アジアと欧米で同時に株安現象が起きている点だ。きっかけは6月5日に米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が米経済の動向について「中期的なインフレ見通しを特に注視する」と発言したことにある。米国では6月下旬に開かれる米連邦公開市場委員会(FMOC)で利上げを休止する観測が広がっていたが、この発言は物価上昇を避けるため、利上げを続行すると受け止められた。
  金利がさらに上がれば、これまで低利で資金を調達し、リスクを取って投資してきた機関投資家やヘッジファンドは損失を被るため、株を売って現金化に動く。投機マネーが収縮して株価が下がり始めると、個人投資家も利益確定売りに動く。こうして売りが売りを呼ぶ展開で世界的に株価が下がっているというのが実情だ。
●  外国人投資家の売り越しに注意
  日本では5月に株安の兆候はあった。これまで市場の主役だった外国人投資家と個人投資家のうち、外国人の売りが顕著になってきたのだ。東証の発表によると、5月は現物市場で2,600億円の売り越し(株式の売りが買いを越える)となり、2004年5月以来の売り越しとなった。4月10日付の「今週のトピックス」No.1222で指摘したような状況になりつつあるのだ。
  ただ、今後も国内企業の株価が下がり続けるという見方は専門家の間ではあまり聞かれない。企業業績自体は今期も好調を持続しそうで、2002年2月から始まった景気拡大は今年11月で「いざなぎ景気」を超えるという見方が一般的だ。株安に目を付けた投資家が値上がり期待で買いに転じれば、4月に付けた日経平均高値(1万7,563円)の水準に戻るのは意外と早いかもしれない。
2006.06.19
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