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自民党、平成19年度税制改正大綱を公表 |
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![]() ● 企業に対する減税措置が目立つ来年度税制改正大綱
去る12月14日、自民党から平成19年度税制改正大綱が発表された。今回は企業に対する減税措置が目立つ内容となっている。事前にいろいろ情報も流れており、大方はその予測どおりといったところだ。今回は、この大綱の内容を中小企業に対する減税措置を中心に解説したい。
まず今回の大綱の中で、特に中小企業経営者が最低限押さえておきたい改正項目は以下の5つである。 ![]() ◆ 減価償却制度の抜本的見直し(100%償却が可能に)
◆ 資本金1億円以下の同族会社に対する留保金課税制度を撤廃 ◆ 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入の適用除外基準が1,600万円に ◆ 職制上の地位変更などにより改定された給与も定期同額給与に ◆ 事業承継で非上場株式を贈与する場合の相続時精算課税制度の特例を創設 ![]() ● 減価償却制度が大きく変わる
減価償却については、これまで取得価額の5%までしか償却できなかったのだが、平成19年4月1日以後取得分からは、法定耐用年数経過時点で取得価額全額が償却できるようになる。定率法については、これまでの率ではなく、定額法の償却率の2.5倍とする250%定率法が導入される。
定率法はその性質上、償却が進んで簿価が小さくなると償却額が減っていくため、取得価額の100%を償却し終わるまでには、かなりの年数がかかってしまう。そこで定率法による償却額が一定金額を下回った時点で、残りの償却計算を定額法に切り替えることで対応する。 また、平成19年3月31日以前取得分については、いったん取得価額の5%まで償却した上で、その翌事業年度から5年間でその5%部分を均等償却していく。 ![]() ● 同族会社に対する法人税減税措置
その他の項目として、資本金1億円以下の同族会社に対しては、留保金課税がかからなくなる。平成18年度税制改正により、留保金課税制度の適用除外要件は、中小企業新事業活動促進法による承認を受けた企業に限られることとなったため、留保金課税対象企業は増加したが、今回の措置により多くの中小企業が留保金課税を免れることとなる。
また、今年導入された特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度においても、早くも減税措置が施されている。これまでは基準所得金額(おおまかには〈所得金額+業務主宰役員給与〉の過去3年平均)が800万円以下の場合に、この制度の適用除外となっていたのだが、その800万円が1,600万円に倍増された。これも多くの中小企業で適用除外となるところが出てくるだろう。 さらには、定期同額給与の取扱いにおいても改正が行われている。定期同額給与とみなされるためには、期中の金額改定は一切認められないと解釈する向きもあったようだが、職制上の変更等により改定する場合には定期同額給与として認められることが明確化された。 ![]() ● 中小企業の事業承継を促進する新たな精算課税制度
相続時精算課税制度においても中小企業経営者向けの改正が行われているので、最後にそれをご紹介したい。これまでの相続時精算課税は、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与につき、2,500万円までの贈与は無税とし、相続発生時に贈与時の価額で相続財産に足し戻すというものであった。今回の改正では、中小企業経営者が自社株を後継者である子供に贈与するなどの一定条件を満たした場合に限り、贈与者である親の年齢要件を60歳に引き下げ、非課税枠を3,000万円に拡大するなどの要件緩和措置が図られた。
![]() ● まだ安心はできない
他にも改正項目は多数あるが、今回は中小企業に関連するものを特にピックアップしてご紹介した。今回お伝えした内容は、まだあくまで大綱の段階であり、最終的には来年3月の国会において内容が確定する。改正事項の実施時期など不明点も多いため、今後の動向には充分注意して頂きたい。
![]() (村田 直 マネーコンシェルジュ、今村仁税理士事務所)
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2006.12.25 |
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