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青色申告にしかない税務上の特典
●  白色申告にはない青色申告の魅力
  青色申告は個人の確定申告の基本であるので、今回は改めて解説することとしたい。
  まず、確定申告には青色申告と白色申告がある。青色申告は事業所得、不動産所得、山林所得のある人が、一定の要件と手続きを踏まえた上で適用できる。青色申告を適用すると、それ以外の白色申告にはないさまざまな税務上の特典を受けることが可能となる。
●  青色申告の特典
  青色申告を適用した場合の特典には以下のようなものがある。
◆青色申告特別控除
◆青色事業専従者給与
◆純損失の繰越と繰戻
◆貸倒引当金の適用
◆少額減価償却資産の特例 など
  以下、順に解説していこう。
◆青色申告特別控除
  青色申告特別控除には65万円控除と10万円控除がある。
  事業所得、不動産所得については、複式簿記により記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付すれば、基本的には最高65万円の特別控除が受けられる。
  「複式簿記による記帳」と聞くとハードルが高いように思われる方もいるかもしれないが、最近は市販の会計ソフトに入力していけば、自然と記帳ができるようになっている。会計ソフトもそれほど高価なものではなく、比較的簡単に手に入るため、やる気さえあれば65万円控除はじゅうぶん可能である。ただし、不動産所得の場合には事業的規模によって取り扱いが異なってくる。そのあたりはまた別の機会にご説明することにしたい。
  複式簿記による記帳をしない方や山林所得の方については、65万円控除はできないが、10万円の特別控除ができるようになっている。
◆青色事業専従者給与
  青色申告者の同一生計親族で15歳以上の者が、その青色申告者の事業に専従している場合には、事前に届け出た範囲内でその親族に支払った給料のうち適正金額が必要経費として認められる。それが青色事業専従者給与である。(※「今週のトピックス」No.1390に関連記事あり)
  白色申告の場合にも白色事業専従者給与が認められているが、金額は年間50万円まで(配偶者の場合には86万円まで可)とされている。
◆純損失の繰越と繰戻
  青色申告者は事業所得や不動産所得などが赤字になった場合には、その損失を翌年以後3年間繰り越すことができる。また、前年も青色申告をしていれば、損失の繰り越しとは逆に前年の所得から差し引き、所得税の還付を受ける損失の繰り戻しもできる。
◆その他の特典
  全ては紹介しきれないが、それ以外の主な特典には以下のようなものがある。

・貸倒引当金
事業所得については、売掛金や貸付金などの債権の5.5%(金融業は3.3%)を貸倒引当金として計上することが認められる。
・30万円未満の少額減価償却資産
年間300万円以下を限度として、取得価額30万円未満の減価償却資産は全額必要経費に算入することができる。
◆青色申告の手続き
  青色申告を適用するためには、まず適用を受けようとする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出しなければならない。
  例えば、平成19年分の確定申告から青色申告の適用を受けたい場合には、平成19年3月15日までに承認申請書の提出が必要ということである。
  平成19年分の確定申告は翌年平成20年2月16日から3月15日までの間であるが、そのときに承認申請書を提出しても適用できるのは、翌年の平成20年分確定申告からとなってしまう。また、青色専従者給与の支払いを考えている場合には、「青色専従者給与に関する届出書」も忘れずに提出しておきたい。
  なお、その年の1月16日以後に新たに事業を始めた方の提出期限は、開業の日から2カ月以内となる。
  また、その他にも正規の簿記の原則により記帳することが求められる。記帳は、青色申告の承認を受けるだけならば現金出納帳のみの記帳などであってもよいが、青色申告特別控除などを考慮すると、やはり市販ソフトなどを使用し複式簿記で記帳することをおすすめしたい。
(村田 直 マネーコンシェルジュ、今村仁税理士事務所)
2007.02.19
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