>  今週のトピックス >  No.1563
新入社員の初任給額の状況
●  初任給は前年比微減
  厚生労働省から、2007年の初任給額の状況が調査・報告された。この調査は毎年行われており、前年との比較で初任給の状況を見てみたい。
  初任給額は大卒で195,800円(2006年196,300円、2005年193,900円)であり、前年比では0.3%の減少。大学院修士卒で225,000円(2006年224,800円、2005年220,400円)で、前年比0.1%の増加となっている。おおむね前年並といえる。
  「今週のトピックス」No.1511で報告した類似調査、(社)日本経済団体連合会「2007年3月卒新規学卒初任給調査結果の概要」では、かなり異なる結果が出ていた。すなわち、大学卒では事務系が205,074円(2006年は203,230円)。技術系は206,579円である。厚生労働省調査と比べ1万円近い差がある。この差は厚生労働省調査の対象が従業員5名以上の事業所であるのに対して、日本経団連調査は加盟企業を中心に回答を依頼しているため、企業規模による賃金格差が反映しているものと思われる。また厚生労働省調査は、非正社員の初任給も平均値算定に含まれていることも影響している。
  なお、日本経団連調査の大学院卒は223,131円(2006年は221,824円)と前年比0.56%増であり、大学院卒については両調査での差は少ない。
●  業種別の最高初任給額は情報通信業
  企業規模別で初任給の額を見ると、大卒で大企業(1,000名〜)は197,000円、中企業(100〜999名)は196,300円、小企業(10〜99名)は190,200円と、小企業において初任給に格差が発生している。
  業種別に大学卒の初任給をみると、最も高いのは情報通信業で205,000円と突出している。次に教育・学習支援業の200,400円、その他サービス業の199,800円、製造業の199,100円となっている。逆に低い業種は保険・金融業の185,100円、医療・福祉の186,000円などが挙げられる。業種別に前年との増減を見ると、運輸業は対前年比1.9%増と大きく増やしている。
  2007年は、初任給を凍結している企業が56.3%(日本経団連調査)に低下したが、大卒の初任給には、まだまだ上昇の兆しが見えない。
出所:厚生労働省「平成19年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.12.25
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