>  今週のトピックス >  No.1596
事業・不動産所得申告における3つの注意点
●  収入の計上時期
  2/18から確定申告の受け付けがスタートしている。個人事業主の方々は、領収証の整理に追われている、といったところではないだろうか。事業所得、不動産所得の申告にあたっては様々な注意点があるが、今回はその中から3つを取り上げてご紹介する。
  確定申告をする上でまず最も重要なのは、売上を確定させるということである。自分では気が付いていなくても、そもそも売上が漏れていた、といったケースがしばしばある。
  売上は原則発生主義での計上となるため、入金があったかどうかに関わらず、収益が確定していれば計上しなければならない。再度売上の締め日等を確認し、まずは収入の計上漏れがないように注意したい。
  特例として前々年の不動産所得と事業所得の金額の合計額(事業専従者給与控除前)が300万円以下の人は、届け出により現金主義での申告が認められるが、適用を受けようとする年の3/15までに届け出なければならないため、今から届出をしても最短で平成20年分確定申告からの適用となる。
  不動産所得の収入計上で最も注意しなければならないのは、いわゆる敷引きの処理である。契約内容にもよるが、当初契約にて「敷引き3カ月」などと定めている場合には、その契約年度で敷引きを収入に計上しなければならない。
●  減価償却は今年のみの特例あり
  また今年は減価償却において大幅な改正がされているので、申告をする場合には十分注意しなければならない。詳しくは「今週のトピックスNo.1588」をご覧いただきたいのだが、必ず知っておいていただきたい今年だけの特例がある。
  それは償却方法の変更についての特例である。個人事業主の方々は、通常何も届出を出さなければ、償却方法は定額法になる。この償却方法を定率法に変更すると、償却額が増える場合がある。もちろん、償却期間全体で見たトータルの償却額は変わらないのだが、今回の申告に限って言えば、償却額が増えるケースがある。例年では変更届を提出しても、適用になるのは翌年の確定申告からだが、今年のみそれが今回の確定申告から変更することができるため、該当する方は検討の上、変更届を提出しておきたい。
●  青色申告特別控除
  青色申告をする場合の特典は何といっても青色申告特別控除だが、65万円控除を受けるためには損益計算書だけではなく、貸借対照表も添付しなければならない。
  ただし、貸借対照表を添付しても65万円控除を受けられない場合がある。それは、不動産所得における事業が「事業的規模」でない場合である。一般的には「貸家5棟、貸室10室」以上であれば「事業的規模」とされているが、最終的には実態判断となる。不動産所得の場合には十分注意したい。また、前述の現金主義による申告の届出を行った場合には、65万円控除は認められなくなるので、こちらも注意が必要である。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2008.02.25
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