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企業型確定拠出年金の最新動向
〜「事故隠し」の体質を生む一つの要因〜
  2002年6月19日、厚生労働省が主催する「確定拠出年金連絡会議(第1回)」が開催され、確定拠出年金をめぐる現状報告や導入企業を交えた意見交換などが行われた。確定拠出年金法が2001年10月に施行され、日本における確定拠出年金制度がスタートしておよそ8カ月が経過しているが、同会議の中で報告された主なポイントは以下の通りである。
  1. 企業型確定拠出年金(以下、企業型年金)の導入状況
    企業型年金について、6月18日現在の企業型年金規約の承認数*1が105社(またはグループ)、加入者数は4月末現在で8万7,980人となっている。また、規約が承認された企業(グループ)の規模をみると、従業員300人未満の中小企業が6割を占めている。さらに他の企業年金の有無では、規約承認企業のうち他の企業年金がなく、新たに確定拠出年金の企業型年金を導入した企業が約6割を占め、特に従業員300人未満の中小企業では約7割となっている。

  2. 確定拠出年金制度について評価できる点
    (財)シニアプラン開発機構による企業型年金導入企業へのアンケート調査の結果(複数回答)をみると、確定拠出年金制度の評価できる点としては「退職給付債務の削減に直接寄与できる」との回答が63%でトップ、以下「運用リスクが回避できる」54%、「選択肢が増えることは望ましい」52%と続いている。

  3. 確定拠出年金制度についての課題・問題点
    確定拠出年金制度の課題・問題点について、同アンケート調査の結果「従業員への投資教育負担が重い」との回答が52%でトップ、以下「非課税となる拠出額が少ない」46%、「制度面での制約が多くて使いづらい」46%、「制度運営においてコストがかかりすぎる」45%などとなっている。

以前(今週のトピックスNo.375)、個人型年金については低調な滑り出しとなったことについて触れたが、企業型年金については制度上の課題点は残るものの、比較的好スタートを切ったといってよさそうだ。また、確定拠出年金制度は、従来の確定給付型企業年金を導入しづらかった中小企業にも制度導入を促したいとの狙いがあっただけに、中小企業の導入が目立っている点は特筆に値しよう。
*1
企業型年金を導入する企業は労使合意を経た「企業型年金規約」について、厚生労働省の承認が必要。
2002.07.09
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