>  今週のトピックス >  No.483
予防医学とは?ストレスを弾き返す身体づくり
〜自分でできるアロマセラピー Vol.1〜
  トピックスNo.480でも述べられているとおり、ストレスによる身体へのひずみは大病を引き起こす原因となる場合がある。大病を担わないためには心身ともにストレスを弾き、受けてしまったストレスはすぐさま取り除かなければならない。そのためには予防医学を認識する必要がある。
  予防医学とは、病気を未然に防ぐための医学的対策であり、会社や地域での健康診断、適度な運動、食事、睡眠など日常のリズムを整える方法、自然食品、ビタミンなどの摂取など、無理なくできるものから、いわゆる周辺医学と呼ばれる補足的療法まである。主に自然治癒力を高める補足的療法の一部を挙げると、カウンセリング、薬草・ハーバリズム、整骨、鍼灸、アーユル・ヴェーダ、アロマセラピーなどがある。ここではアロマセラピーを取り上げるが、絶対に守って欲しい注意点を以下に述べ、アロマセラピーの概念を確認、補足してほしい。
(1)
アロマセラピーで扱われるエッセンシャルオイル(精油:植物から抽出・蒸留された純粋なエッセンス)はそのままでは危険な薬品でもあり、保管場所には十分注意が必要となる。幼い子どものいる家庭では、絶対に手の届かないところへ保管すること。日光の当るところ、火気の近くなどに置いてはならない。
(2)
妊婦の場合は、安定期に入るまでは特に精油に触れない方がよい。安定期が過ぎてアロマセラピーを望む場合は専門家に相談すること。特にジャスミンは分娩促進作用があるため触れてはいけない。また、ジャスミンには子宮強壮作用、催乳作用、ホルモン調整作用があるため、生理前緊張症や生理不順などの改善にも役立つ。ゼラニウムなども含め、女性ホルモンに強く作用する精油がいくつかあるが、自分の体の状態に気付かず、精油の知識も認識もなく使用しないこと。購入するときは必ず、正しいアドバイスのできる店員などがいる専門店にする。
(3)
その他の疾患がある場合も、やはり専門のセラピストに相談し、疾患にぶつからない精油を選ばなければならない。
(4)
精油には化学成分によって異なる効用がある。例えば、化学成分の種類の中にモノテルペン炭化水素というものがある。その種類にリモネンがあるが、名称のとおり柑橘類に多く含まれるあの独特の爽やかな香りを放つ元になる成分である。リモネンを多く含む精油の効用として、殺菌力、鎮痛、発汗、結石溶解、うっ血除去、加温などがあるが、リモネンが70.0−90.0という高い数値を示す精油のレモンなどは、0.2%の希釈度でジフテリア菌が20%死滅可能な強い殺菌力、皮膚に対する収れん作用、皮膚軟化作用などを持ちながら、非常に強い光毒性がある。皮膚に付着した場合はどの精油も(ラベンダーを除く)必ず水ですぐ洗い流すのはもちろんだが、リモネンは日光に当たると短時間で深いシミを作るので要注意である。レモンの成分の入った化粧水など日中に使用するのは避けた方がよい。逆に、ラベンダーは焼けどなどに効用があり、医療機関へ行く前に応急処置として、原液をそのまま患部に塗布する。日やけなどにはラベンダー・ウォーターなどがよい。常備しておくとよい精油である。
同じく現在、脂肪を分解してダイエットにもよいとされる人気のグレープフルーツも、胆石溶解作用、胆のう除去を受けた方の脂肪溶解を促し、体内のデオドラント作用にも役立つが、やはり皮膚には強い光毒性を持つ。だが、最も光毒性の高いものはベルガモットである。リモネンはレモンより低いが、ベルカプテン、フロクマリンという成分が高く、シミの原因となるからである。
だが、同じ柑橘類である高い鎮静作用を持つプチグレンの場合、光毒性はない。ミカン科の若い小枝と葉から水蒸気蒸留法で抽出されたプチグレンは、柑橘類でありながら枝と葉からの抽出でリモネンの値が非常に低いからである。また同様にネロリというミカン科の花弁から抽出する精油は浄血作用、殺菌消毒作用が強く、細胞成長を促進し美容によく、オレンジフラワー・ウォーターとして使用するが、光毒性はない。またネロリは女性の更年期のうつ症状にも効果を発揮する。
  このように、同じ柑橘類でありながら成分が違うと効用と毒性も異なる。精油はそれぞれの毒性を把握し注意すれば、高い効用を発揮する家庭の予防医学となる。次回は具体的な症例と精油のブレンドについて述べる。
2002.09.17
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