精油には化学成分によって異なる効用がある。例えば、化学成分の種類の中にモノテルペン炭化水素というものがある。その種類にリモネンがあるが、名称のとおり柑橘類に多く含まれるあの独特の爽やかな香りを放つ元になる成分である。リモネンを多く含む精油の効用として、殺菌力、鎮痛、発汗、結石溶解、うっ血除去、加温などがあるが、リモネンが70.0−90.0という高い数値を示す精油のレモンなどは、0.2%の希釈度でジフテリア菌が20%死滅可能な強い殺菌力、皮膚に対する収れん作用、皮膚軟化作用などを持ちながら、非常に強い光毒性がある。皮膚に付着した場合はどの精油も(ラベンダーを除く)必ず水ですぐ洗い流すのはもちろんだが、リモネンは日光に当たると短時間で深いシミを作るので要注意である。レモンの成分の入った化粧水など日中に使用するのは避けた方がよい。逆に、ラベンダーは焼けどなどに効用があり、医療機関へ行く前に応急処置として、原液をそのまま患部に塗布する。日やけなどにはラベンダー・ウォーターなどがよい。常備しておくとよい精油である。
同じく現在、脂肪を分解してダイエットにもよいとされる人気のグレープフルーツも、胆石溶解作用、胆のう除去を受けた方の脂肪溶解を促し、体内のデオドラント作用にも役立つが、やはり皮膚には強い光毒性を持つ。だが、最も光毒性の高いものはベルガモットである。リモネンはレモンより低いが、ベルカプテン、フロクマリンという成分が高く、シミの原因となるからである。
だが、同じ柑橘類である高い鎮静作用を持つプチグレンの場合、光毒性はない。ミカン科の若い小枝と葉から水蒸気蒸留法で抽出されたプチグレンは、柑橘類でありながら枝と葉からの抽出でリモネンの値が非常に低いからである。また同様にネロリというミカン科の花弁から抽出する精油は浄血作用、殺菌消毒作用が強く、細胞成長を促進し美容によく、オレンジフラワー・ウォーターとして使用するが、光毒性はない。またネロリは女性の更年期のうつ症状にも効果を発揮する。
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