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民間給与額の時系列推移
●  10年以上年収は横ばい
  「昇給・賃金水準の現状」(トピックスNo.947参照)では、日本経団連調査をもとに、男女別・企業規模別に給与格差が依然として大きいこと、そして近年ベースアップがほとんど実施されていないことを報告した。
  国税庁による民間給与実態統計調査からも、ここ10年以上給与総額(月額給料および賞与の合計)がほとんど横ばいであること、そして各種の賃金格差の存在が改めて裏付けられた。
  この統計調査によると、男女別では、男性の平均給与総額については図表1にある通り、1992年から横ばいとなり、1997年から右下がりのトレンド、2003年では544万円と1991年の額を下回っている。一方、女性は1998年にピークとなり、その後右下がりで、2003年には275万円となっている。
  平均給与総額減少の内訳をみると、1997年と2003年の間に給与総額は5.0%減少している。そのうち月額給料は0.8%の減少にとどまっており、賞与における22.6%の減少が給与総額の減少の理由であることが分かる。
  日本経団連調査と重ね合わせると、近年においても昇給率は年2%前後で推移してきたが、ベースアップがほとんどないため月額給料は横ばいにとどまった。また賞与のカットにより給与総額、つまり年収では右下がりに陥ったことがこの統計調査から読み取れる。
●  男女の給与格差は、雇用形態格差によって拡大
  図表1によると、男女の給与格差はほぼ2倍となっている。日本経団連調査は大卒者の統計で、男女別賃金はそれぞれ617万円、495万円となっていたが、この調査ではパートタイマーなども含む給与所得者全体の平均であり、男女の給与格差が一段と際立っている。つまり雇用形態を加味した男女の給与格差は一層大きいことになる。
  図表2は男女別・年齢階層別の平均給与総額推移である。男性は日本経団連調査と類似した50歳代をピークとする年齢階層別曲線を描いている。一方、女性は年齢階層が高まるほど給与総額が下がるという、日本経団連の大卒女性とはまったく異なる給与総額曲線を描いている。これは年齢が上がるほど、正社員よりパートタイマー社員の比率が高まり、給与総額が引き下げられているためと推測される。
【図表1 男女別平均給与総額推移】
【図表1 男女別平均給与総額推移】
【図表2 男女別・年齢階層別平均給与総額】
【図表2 男女別・年齢階層別平均給与総額】
参考:国税庁「民間給与実態統計調査結果」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン主席コンサルタント、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.01.11
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