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税理士が見る生命保険販売のツボ
役員給与、現在3区分
  平成18年5月に会社法が創設されて、役員の報酬と賞与の支給手続きが職務執行の対価というくくりで一本化されました。また、資本金が1円でよいことや役員が1人でよいことなどから、会社の設立が非常に簡単になりました。そこで、税法もそれに対応するように、「役員給与関係の制度整備」と「会社設立にともなう給与所得控除を使った節税スキーム封じ(過去記事「税制改正+新会社法=保険販売のチャンス」参照)」を行いました。
  そこで現在では、「役員給与」について事前に検討することが、税金対策上より重要となりました。
  12月決算の会社というのは結構多いでしょうから、保険営業マン・ウーマンの皆さんがクライアントの方から相談を受けたときにきちんと対応できるように、役員給与についてその現在の取り扱いと注意点などを解説します。
役員給与は現在3区分
  現在、税務上費用計上可能な役員給与は、大きく3つの区分に分かれます(図1参照)。1つは「定期同額給与」といわれるもので、原則毎月定額支給される役員給与を指します。これが今、中小企業では一番利用されている役員給与の形態でしょう。
(図1 役員給与3つの区分)
  この定期同額給与では、期中は原則役員給与の額を変更することができないのですが、例えば12月決算の会社であれば、1〜3月の間に改定することは税務上認められることになっています。つまり、「その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3カ月経過日までに改定された場合」には、その前後で役員給与の額が一定であれば、その変更はOKということになっています。
  ということは、決算申告時に今期の役員報酬をいくらにするか、事業計画などに基づいて検討する必要があるということです。逆にいうと、3カ月経過してしまうと、もうその期においては原則役員給与の額を変更することができないことになります。この役員給与額の検討は、現在では決算時の要チェック項目となっています。
  また2つ目の役員給与の形態は、「事前確定届出給与」といわれるものです。この事前確定届出給与は、事前に役員給与の支給時期と支給金額を確定させておいて、さらにその内容を税務署に届け出ることが必要となります。今までは、盆暮れに役員に対して賞与を支給した場合、原則その全額が税務上費用計上不可となっていました。それが、この事前確定届出給与に該当すると、盆暮れの役員に対する賞与も税務上費用計上が可能となります。ただし、事前に税務署への届出が必要となりますので、ご注意ください。また実際中小企業では、その事務処理の煩雑さなどから、その賞与額を毎月の役員給与に平均して加算して「定期同額給与」の形態で支給しているところが多いと思われます。
  最後の役員給与の形態は、「利益連動給与」といわれるものです。この利益連動給与とは、同族会社以外の会社が、客観的な利益に関する指標をもとにその利益に連動して役員給与を支払った場合(他に要件有り)に、税務上費用処理を認めるというものです。これはその適用要件などが厳しいため、中小企業での利用はほとんどないようです。
  今日の話が少しでも皆さんのお役に立つことができれば、幸いです。
2008.01.15
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税理士 今村 仁 プロフィール
[経歴・バックグラウンド]
京都府京都市出身
立命館大学経営学部企業会計コース卒
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。
その後2003年今村仁税理士事務所を開業、
2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。
[保有資格]
  税理士・宅地建物取引主任者・CFP(R)・1級FP技能士など
税理士 今村 仁