> 平成23年度税制改正大綱 ポイントと解説 > はじめに |
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「平成23年度税制改正大綱速報」![]() |
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マネーコンシェルジュ税理士法人 代表税理士 今村仁 ![]() |
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はじめに | ||
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昨年、従来の自民党中心の政治から民主党を中心とした政治へと大きな政権交代がなされ、平成22年度(2010年度)税制改正においては、控除から手当へなどその変化の一部が垣間見られました。
今回の平成23年度(2011年度)税制改正大綱は、最初から最後まで民主党が中心となってとりまとめた初の本格的税制改正となります。そのため、いわゆる民主党カラーが昨年以上に色濃く出ているものになっています。 例えば、税制の三原則として昨年掲げた「公平・透明・納得」。このうち特に「透明」部分については、政府税制調査会の議論がリアルタイムでインターネット上に公開されました。また、最終着地点も昨年のような誰かの鶴の一声で決まるようなものではなく、利害調整をそれぞれ愚直に行なって決まったようです。更には、政治主導というのも、新聞報道を見る限りかなりの部分で実行されたのではないかと思います。税制改正の中身としては、「企業には減税、富裕層を中心とした個人へは増税」というものですが、これは雇用創出、格差是正をかなり意識した結果でしょう。 一方、今回の税制改正の特徴を一言であげるとすると、「来年以後の消費税増税や国民総背番号制及び増大する社会保障費対策を含む税制【抜本】改正の、布石となる【大】改正」であると思います。今まで財務省が改正したかったけれどもなかなか実現できなかった制度設計の誤謬など諸々のものが、幅広く大胆に改正されています。また、高額所得者への給与・退職課税の増税や相続税の増税など富裕層課税が実施され、これはダイレクトに「消費税増税をするための地ならし」といえるでしょう。ちなみに、これら増税項目には政治家や公務員も含めると明確に記載されている部分もあります。つまり、やるべき増税はきちんとやったのだから、今度は国民全体に対して消費税増税などきちんと負担をしてもらわないといけませんよ、というメッセージなのでしょう。方向性としては間違っていないと思います。 国の財政事情を考え長期的視点で税制を眺めると、このままいけば、ざっくりとは今55歳以下の人はいずれみんな増税となるのではないでしょうか。これ以上、私達の子どもや孫に負担を押し付けるべきではありません。今こそ、「人口減少と高齢化が同時進行する世界初の社会」に突入している日本が、後続の国のためにも、持続可能な社会基盤のお手本を示すべき時です。平成23年半ばまでには、「社会保障の安定・強化のための具体的な制度改革案とその必要財源の安定的確保と財政健全化を同時に達成するための税制改革について一体的に検討を進め、その実現に向けた工程表とあわせ、成案を得、国民的な合意を得た上でその実現を図る」とされています。そういえば、昨年のこの税制改正原稿の冒頭でも同様のことを書いて、結果その結論が先送りされたという政府の怠慢もありましたが、今回は是非とも期待したいものです。 最後に、新聞報道等ではあまり触れられていませんが、外資系企業の立地を促進し、雇用と国内投資を拡大する必要性から、「総合特区制度・アジア拠点化推進税制」が創設されたことを付け加えておきます。これは、国際的には遅ればせながらですが、方向性としては大いに評価できるのではないかと思います。 ![]()
![]() 原稿執筆:平成22年12月30日
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