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第1章 納税環境整備
  納税者の立場に立って「納税者権利憲章」を策定するとともに、「税務調査手続の明確化」、「更正の請求期間の延長」、「処分の理由附記」の実施等の措置を講じることとし、国税通則法について昭和37 年の制定以来、最大の見直しを行います。国税不服審判所の改革については、納税者の簡易・迅速な権利救済を図り、「審理の中立性・公正性」を高める観点から、行政不服審査制度全体の見直しの方向を勘案しつつ、「不服申立ての手続」、「審判所の組織や人事のあり方」について見直しを進めていきます。
  これらの中でも特に影響が大きいと思われる項目を中心に、以下詳細をご紹介していきます。
●  1−1 納税者権利憲章の策定
次のとおり、「納税者権利憲章」を策定します。
1. 国税通則法について、次の見直しを行います。
(1) 国税通則法(第一条)の目的規定を改正し、税務行政において納税者の権利利益の保護を図る趣旨を明確にします。
(2) 加えて、以下のような各種税務手続の明確化等について同法に規定を集約します。
税務調査における事前通知(通知対象者、開始日時・場所・目的・対象税目・課税期間等の通知内容、通知方法などを規定)
税務職員による質問検査権(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法、酒税法、たばこ税法、揮発油税法、印紙税法などの各税法の関連規定を集約)
税務調査終了後における調査内容の説明(更正・決定等すべきと認められる場合について、調査結果(非違の内容、金額、理由)、「修正申告又は期限後申告を行った場合にはその部分について不服申立てができないこと」などを説明)
税務調査において申告内容に問題がある場合の修正申告等の勧奨
税務調査における終了通知(納税者から修正申告書又は期限後申告書の提出があった場合及び税務署長が更正・決定等をした場合には「調査が終了した」旨、更正・決定等すべきと認められない場合には「その時点で更正・決定等すべきと認められない」旨を通知)
税務調査において納税者から提出された物件の預かり・返還等に関する手続(納税者から物件を預かる際の「預り証」の発行等を規定)
更正の請求期間の延長
更正の請求における「事実を証明する書類」の添付の義務化
内容虚偽の更正の請求書の提出に対する処罰規定
処分の理由附記(「不利益処分」、「申請に対する拒否処分」について理由附記)
2.「憲章」の名称は、「納税者権利憲章」とします。
3.「憲章」は、納税者の立場に立って、複雑な税務手続を平易な表現で分かり易くお知らせするとの基本的考え方に沿って、次のとおり策定します。
(1) 「憲章」に記載すべき具体的な項目は、納税者に提供される各種サービスなど一定のものとします。
(2) 上記の項目は、現在、法律・政省令・告示・通達等、様々なレベルに記載されていますが、一連の税務手続に関して、これらを納税者に分かり易くお示しする観点から、平易な表現で一覧性のある行政文書として、国税庁長官が作成し、公表することとします。また、「憲章」の策定を法律上義務付けることとし、その策定根拠、「憲章」に記載すべき事項を法定します。
(注) 納税者権利憲章は、平成23 年中に準備を進めた上、平成24 年1月1日に公表します。
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