>  平成24(2012)年度税制改正速報! >  第2章 資産課税
第2章 資産課税
5 林業経営の継続を確保するための納税猶予制度
      (山林に係る相続税の納税猶予制度)の創設
  林業経営相続人が、森林経営計画(市町村長等の認定・農林水産大臣の確認を受けたものに限ります。以下「認定計画」)が定められている区域内に存する山林(立木及び林地)についてその認定計画に従って施業を行ってきた被相続人からその山林を一括して取得し、その認定計画に基づいて引き続き施業を継続していく場合には、その林業経営相続人が納付すべき相続税額のうち、その山林(施業及び路網整備を行う区域内に存するもののうち一定のものに限ります)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予する措置(「平成24年度税制改正大綱」P,87〜88別紙3参照)を講じます。
(注) 「林業経営相続人」とは、被相続人の推定相続人であって、認定計画が定められている区域内に存する山林を一括して取得することにつき、農林水産大臣の確認を受けた後継者をいいます。
山林に係る相続税の納税猶予制度
1.概要
  林業経営相続人が、相続又は遺贈により、森林経営計画(市町村長等の認定・農林水産大臣の確認を受けたものに限る。以下「認定計画」)が定められている区域内に存する山林(立木及び林地)についてその認定計画に従って施業を行ってきた被相続人からその山林を一括して取得した場合において、その林業経営相続人がその認定計画に基づいて引き続き施業を継続していくときは、その林業経営相続人が納付すべき相続税額のうち、特例対象山林に係る課税価格の80%に対応する相続税額については、その林業経営相続人の死亡の日までその納税を猶予する。
   (注1)  「林業経営相続人」とは、被相続人の推定相続人であって、認定計画が定められている区域内に存する山林を一括して取得することにつき、農林水産大臣の確認を受けた後継者をいう。
   (注2)  「認定計画に従って施業を行ってきた被相続人」とは、自ら所有し、かつ、施業を行う100ha以上の山林について、認定計画の始期(以下「当初認定日」)から継続して、施業拡大・作業路網整備の計画量を達成しながら認定取消事由に該当することなく、その認定計画に従って施業を行ってきた被相続人をいう。
   (注3)  「特例対象山林」とは、認定計画が定められている区域(施業及び路網整備を行う区域に限る)内に存する一定の山林をいう。ただし、立木にあっては、相続開始時において、林業経営相続人に係る平均余命期間(最長30年間)中に標準的な伐期(市町村森林整備計画に定める主伐可能な林齢をいう。以下同じ。)を迎えないこととされるものに限る。
2.猶予税額の計算
   (1)  相続税の納税猶予の適用がないものとして、通常の相続税額の計算を行い、林業経営相続人の相続税額を算出する。
   (2)  林業経営相続人以外の相続人の取得財産は不変とした上で、林業経営相続人が、通常の課税価格による特例対象山林のみを相続したものとして計算した場合のその林業経営相続人の相続税額と、課税価格を20%に減額した特例対象山林のみを相続するものとして計算した場合の当該林業経営相続人の相続税額の差額を、その林業経営相続人の猶予税額とする。
  なお、(1)により算出した林業経営相続人の相続税額からこの猶予税額を控除した額が、その林業経営相続人の納付税額となる。
3.猶予税額の免除
  その林業経営相続人が特例対象山林を死亡の時まで所有し、かつ、引き続き認定計画に従って施業をし続けた場合は、猶予税額を免除する。
4.猶予税額の納付
   (1)  当初認定日から10年を経過する日までに認定計画に記載した作業路網の整備が完了していない等、市町村長等の認定の取消事由に該当する事実が生じた場合等には、猶予税額の全額を納付する。
   (2)  特例対象山林の譲渡等をした場合(立木の間伐等を除く)には、相続開始時の特例対象山林の課税価格の総額に対するその譲渡等をした特例対象山林の課税価格の割合に応じて猶予税額を納付する。
  (注)特例対象山林の全面積の2割超の譲渡等をした場合には、猶予税額の全額を納付する。
5.利子税の納付
  上記4.により、猶予税額の全部又は一部を納付する場合には、相続税の法定申告期限からの期間に係る利子税を併せて納付する。
6.担保の提供
  相続税の納税猶予の適用を受けるためには、猶予税額に相当する担保を提供しなければならない。
7.その他
   (1)  林業経営相続人は、当初認定日から10年を経過する日までの間(相続税の法定申告期限後の期間に限る)は毎年、その後は3年毎に継続届出書を税務署長に提出しなければならない。
   (2)  その他所要の措置を講ずる。
(「平成24年度税制改正大綱」P.87〜88別紙3より転載)
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