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第5章 国際課税
2 国外財産調書制度の創設
1.国外財産調書の提出
  その年の12月31日において価額の合計額が5千万円を超える国外に所在する財産(以下「国外財産」)を有する居住者は、その財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書(以下「国外財産調書」)を、翌年3月15日までに、税務署長に提出しなければならないこととします。
(注)  財産の評価については、原則として「時価」とします。ただし、「見積価額」とすることもできることとします。
  国外財産調書に記載した国外財産については、所得税法の規定にかかわらず、財産債務明細書への内容の記載は要しないこととします。
(注)  この場合、運用上、財産債務明細書の備考に「国外財産調書に記載のとおり」と記載することとします。
2.過少申告加算税等の特例
(1)国外財産調書の提出がある場合の過少申告加算税等の特例
  国外財産に係る所得税又は相続税について申告漏れ又は無申告(以下「申告漏れ等」)がある場合において、提出された国外財産調書(更正・決定を予知して期限後に提出されたものを除きます)に、次のとおりその申告漏れ等に係る国外財産の記載があるときは、その記載がある部分につき課する過少申告加算税(10%、15%)又は無申告加算税(15%、20%)については、通常課されるこれらの加算税額からその申告漏れ等に係る所得税又は相続税の5%に相当する金額を控除した金額とします。
   次に掲げる所得に係る所得税について申告漏れ等がある場合において、その年分の国外財産調書(譲渡、解約等がある場合はその前年分の国外財産調書。次の(2)において同じです)に、その申告漏れ等となった所得に係る国外財産の記載があるとき
   国外財産から生じる利子・配当
   国外財産の貸付け・譲渡による所得
   その他国外財産に起因して生じた所得(具体的事例を通達に例示)
   国外財産に係る相続税について申告漏れ等がある場合において、被相続人により提出された相続の前年分の国外財産調書又は相続人により提出された相続の年分の国外財産調書のいずれかに、その申告漏れ等に係る国外財産の記載があるとき
(2)国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の特例
  上記(1)@の所得に係る所得税について申告漏れ等がある場合において、その年分の国外財産調書の提出がないとき(更正・決定を予知して期限後に提出されたときを含みます)又は提出された国外財産調書にその申告漏れ等に係る国外財産の記載がない(記載不備を含みます)ときは、その提出又は記載がない部分につき課する過少申告加算税(10%、15%)又は無申告加算税(15%、20%)については、通常課されるこれらの加算税額にその申告漏れ等に係る所得税の5%に相当する金額を加算した金額とします。
3.その他
   国外財産調書の提出に関する調査に係る質問検査権の規定を整備します。
   国外財産調書の不提出・虚偽記載に対する罰則を設けます。法定刑は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金とし、併せて、情状免除規定を設けることとします。
   その他所要の措置を講じます。
(注)  上記の改正は、平成26年1月1日以後に提出すべき国外財産調書について適用します(上記3(2)の罰則については、平成27年1月1日以後に提出すべき国外財産調書について適用します)。
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