> 平成27年度税制改正速報! > はじめに |
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政治日程の影響もあって従来より若干発表が遅くなった「平成27年度(2015年度)税制改正大綱」ですが、概観しての感想は、企業に対しては「黒字企業を奨励し、そうでない企業には撤退を迫る」、個人に対しては「高齢者から若者への資産移転の奨励」及び「投資の奨励」です。
まずは企業向けですが、先に新聞報道されていたように「今般の法人税改革は、欧米各国も行ってきたように『課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる』ことにより、法人課税を成長志向型の構造に変えるもの」とされ、具体的には、「国・地方を通じた法人実効税率(現行34.62%)は、平成27年度に32.11%(対現行▲2.51%)、平成28年度に31.33%(同▲3.29%)。さらに引き続き平成28 年度以降の税制改正においても、20%台まで引き下げることを目指して、改革を継続していく。」とあります。一方では、赤字企業でも税負担が発生する「外形標準課税」については課税強化の方向ですので、政府としては国家戦略として隠すことなく、「黒字企業奨励、赤字企業には撤退を迫る」となっています。 次に個人向けとしては、今回の改正の目玉でもある「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度の創設」や「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税制度の拡充・延長」などがあります。「高齢者から若者への資産移転の奨励」は近年の税制改正の顕著な傾向ですが、その背景には、若者世代にお金をシフトして消費してもらおうという経済対策の側面があります。同様な趣旨の税制改正項目としては、「ジュニアNISAの創設」や「NISAの拡充」、「401Kの拡充」などの「個人投資奨励」があります。 一方で、国家財政再建に必要である「消費税率10%アップは延期」されました。ここまで税制が景気対策のみにすり寄っていいものなのか、更には日本人に馴染みにくい個人投資へこれほどまでに過度な奨励を行っていいものなのか、いささか疑問に感じます。 また、「海外関係に対する課税強化」も今回の税制改正大綱の特徴の1つです。項目を挙げると、「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の創設」や「日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化」、「国境を越えた役務の提供に対する消費税の見直し」、「非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度の整備」などがあります。 最後に、今回の税制改正大綱の検討事項等を読むと、抜本的な税制改正の妨げとなっている”岩盤税制”もはっきりとしました。それは、「中小企業に対する課税強化」と「老人向けの課税強化」です。ともに必要であると様々な学者等が提唱しているにもかかわらず、それらには政治的背景などからほぼ未着手状態です。今後の税制改正において、これらの項目がどのように取り扱われていくのかは要注目です。 ![]() 平成27年1月26日
![]() マネーコンシェルジュ税理士法人/相続承継M&Aセンター(株)
代表税理士 今村 仁 ![]() |
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