「地方移住」を考えるなら、まず「何を変えたいのか」を整理

高橋 浩史
2026.10.01

 「地方で暮らしてみたい」と考えたことはありませんか。住まいや働き方、子育て環境など、今の暮らしを見直す中で、地方移住を選択肢の一つにする人もいます。
「地方なら暮らしやすい」とは限らない
 地方移住というと、「自然が豊か」「住居が広い」「ゆったり暮らせる」といったイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、実際の暮らしやすさは、個々の生活に対する考え方や価値観によっても異なります。「都市」か「地方」かだけで、暮らしやすさが決まるわけではありません。

 統計データを見ると、都市部への人口流入は続いています。総務省の「住民基本台帳人口移動報告」によると、2025年の3大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)は、全体で11万9,581人の転入超過となりました。コロナ禍で大きく減少した転入超過数は2022年以降増加傾向にあり、2025年も高い水準にあります。

 一方、地方といっても、都市部に近い地域から山間部まで、生活環境はさまざまです。鉄道やバスなどの公共交通機関が充実している地域もあれば、日常の買い物や通院に車が欠かせない地域もあります。仕事の選択肢や子育て環境、気候なども地域によって異なります。

 そのため、「地方だから暮らしやすい」と一括りに考えるのではなく、自分が希望する暮らしが実現できる地域なのかを見極めることも必要でしょう。
「どこに住むか」より「生活の何を変えたいか」
 地方移住を考えるときは、「どこへ移るか」を先に決めるのではなく、「今の暮らしの何を変えたいのか」の整理が重要です。

 例えば、「住居費を抑えたい」のであれば、住宅価格だけでなく、自分に合った仕事があるか、車が必要な地域なら維持費はどの程度か、といった点まで考える必要があります。「自然に近い環境で暮らしたい」「子育て環境を重視したい」「仕事と生活のバランスを見直したい」など、目的によって候補となる地域も変わってきます。

 候補地が決まったら、実際に訪れてみることも大切です。観光で訪れるのとそこで生活するのとでは、見えるものが違ってきます。可能であれば一定期間滞在し、普段の生活を体験してみるのも方法の一つです。例えば、多拠点生活のサブスクサービス「ADDress」など、全国各地の拠点を利用し、そこでの生活を体験できるサービスもあります。

 移住は、単に「都会から地方へ移ること」ではありません。まず自分や家族がどのような暮らしをしたいのかを考え、その実現に合った場所を選ぶことです。「地方だから住む」のではなく、「こう暮らしたいから、この地域を選ぶ」。そんな視点を持つことが、地方移住を現実的に考える第一歩になるのではないでしょうか。
参考:
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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