中小企業向け所得拡大促進税制の見直し

今村 京子
2021.01.07

 令和2年12月10日に、自由民主党と公明党から令和3年度税制改正大綱が発表された。その中から、今回は「所得拡大促進税制の見直し」を取り上げる。
現行制度の概要
 所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件(※)を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の15%を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度である。
※一定の要件:
継続雇用者給与等支給額の増加率が前事業年度比で1.5%以上であること。
 なお、給与から雇用調整助成金等の額などの一定の助成金を控除して求める必要がある。さらに、継続雇用者給与等支給額の増加率が前事業年度比で2.5%以上であり、教育訓練費が前事業年度比で10%以上増加、あるいは中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けておりその経営力向上が確実になされている場合には、25%の税額控除率となる。
改正内容
 次の見直しを行った上で、その適用期限を令和5年3月31日まで2年延長する。
1.
継続雇用者給与等支給額の増加率が前事業年度比で1.5%以上であることの要件を、雇用者給与等支給額の増加率が前事業年度比で1.5%以上であることに見直す。
2.
税額控除率が25%となる要件のうち、継続雇用者給与等支給額の増加率が前事業年度比で2.5%以上であることの要件を、雇用者給与等支給額の増加率が前事業年度比で2.5%以上であることに見直す。
 なお、今改正で給与等の支給額から控除する「給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」について、範囲が明確化されるとともに、次の見直しが行われる。
1.
上記1及び2の要件を判定する場合には、「雇用調整助成金等及びこれに類するものの額」を控除しないこととする。
2.
税額控除率を乗じる基礎となる雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額は、「雇用調整助成金等の額及びこれに類するものの額」を控除して計算した金額を上限とする。
 現行制度では、継続雇用者給与等支給額の集計に手間がかかっていたが、改正後は実務的にはシンプルな計算方法となる。
令和3年度税制改正大綱については、国会を通過するまでは確定事項ではありません。
今村 京子(いまむら・きょうこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。
平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。
年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。

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