厚労省、テレワーク導入を促すリーフレット公表

庄司 英尚
2021.02.01

テレワーク実施までの流れが理解できる
 コロナ禍において中小企業においてもテレワークの導入を進めている企業が増えてきているが、その効果について疑問を持っている経営者も多い。いざ導入しようとしても何から手を付ければいいのかわからない、どのように制度づくりをしていけばいいのかわからないという声もあがっている。

 そんな中で、厚生労働省は、このたびテレワークを有効に活用してもらう観点から、テレワークを実施するに当たっての留意事項や参考資料などをわかりやすくコンパクトにまとめたリーフレットを作成し、公表した。このリーフレットでは、テレワークの効果、実施までの流れ、実施に向けての検討事項、セキュリティのチェック、労務管理等テレワーク実施に当たって最低限必要なポイントを網羅している。今回はここから一部抜粋して紹介していくこととする。
問題となりやすい、費用負担と労務管理
 テレワークを導入すると企業側にとっては下記のようなメリットがあるが、結果的には、従業員の満足度も高くなり、仕事の生産性の向上にむすびつくことが重要である。
企業のメリット
非常時に感染リスクを抑えつつ、事業の継続が可能
従業員の通勤負担の軽減が図れる
優秀な人材の確保や、雇用継続につながった
資料の電子化や業務改善の機会となった
労働者のメリット
通勤の負担がなくなった
外出しなくて済むようになった
家族と過ごす時間や趣味の時間が増えた
集中力が増して、仕事の効率が良くなった
 費用負担についてはトラブルになりやすいので、労使でよく話し合うことが必要である。従業員の価値観は様々で企業側では当たり前に思っていることでも、従業員によって受け止め方は異なる。特にお金が関係するところはあとからトラブルとなりがちだ。解決に時間がかかることも多いので、事前にアナウンスするとともに細心の注意を払って対応したい。主なところとして、通信費、光熱費、機器購入費、消耗品購入などが関係してくるところであるが、企業で購入して貸与することも多いので統一のルールを設けるべきである。

 在宅勤務などのテレワーク時にも、労働基準法などの労働法令を遵守しなければならない。テレワークの良い面は新型コロナウイルス感染症対策になるだけでなく通勤ラッシュから解放されることもあるが、反面、オンとオフの切り替えが難しく長時間労働に陥るおそれがある。

 テレワーク時の労務管理について確認し、真っ先にルールを定めることが重要だ。労働時間を適正に把握・管理し、長時間労働を防ぐためにも、従業員の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録することが必要である。労働時間管理の方法として、リーフレットでは一例としてEメール、勤怠管理ツール、電話、勤怠管理システム(仮想オフィス、グループウェア等)が紹介されており、それぞれのメリットも紹介されているので自社の状況にあわせて検討したい。

 最後に、テレワーク時の課題としてよく上がってくるのが、従業員がテレワーク中に孤独や不安を感じることがあるということ。とにかく積極的にオンライン会議などを活用して、上司・部下や同僚とコミュニケーションをとるようにしたい。時には同僚と雑談をして息抜きをしてお互い体調面を気遣い、声をかけあったりするような関係ができるような風土づくりが重要である。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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