メンタル不調で休業した従業員が職場復帰する際の企業側留意点

庄司 英尚
2025.07.28

休業から復職までの流れを明確にしておく必要がある
 メンタルヘルス不調により休業した労働者に対して、職場復帰を促進するための事業場向けマニュアルに『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』(以下「手引き」とする)がある。平成16年10月に厚生労働省より公表され、改訂を重ねながら現在でも多くの企業で活用されている。「手引き」をもとに、企業側が従業員の職場復帰に際し留意すべき点をまとめておく。

 心の健康問題で休業している労働者が円滑に職場復帰するためには、職場復帰支援プログラムの策定や関連規程の整備等により、休業から復職までの流れをあらかじめ明確にしておくことが必要である。しかしながらそこまで整備できていない企業も多いので、まずは休業から職場復帰後のフォローアップにいたるまでの留意点についてまとめておく。
試し出勤制度により従業員の不安を和らげる施策を
 正式な職場復帰決定の前に、社内制度として試し出勤制度等を設けるのも1つの方法である。より早い段階で職場復帰の試みを開始することができるのはメリットである。

 試し出勤制度の事例として、自宅から勤務職場の近くまで通勤経路で移動し、職場付近で一定時間過ごした後に帰宅させるような通勤訓練などの方法も「手引き」では推奨しているので、本人の希望や状況にあわせて検討したい。

 原則は元の慣れた職場に復帰させることになるが、状況により配置転換や異動したほうが良い場合もあるので、心の健康を害した経緯や原因なども良く考慮して柔軟に決定するよう留意していただきたい。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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