今年は7月12日までに「源泉所得税の納期特例」「労働保険の年度更新」「社会保険の算定基礎届」の3つの手続きを行う必要がある。

 このうち、「源泉所得税の納期特例」と「労働保険の年度更新」については、支払も同日中にする必要がある。「労働保険の年度更新」については、申告及び納期限が原則7月12日となっているが、納期限に口座振替（手数料は不要）を選択することによって最大約2ヶ月遅らせることができ、今年は令和3年9月6日が口座振替日となる。

 一方の「社会保険の算定基礎届」については、書類を提出するだけである。また、令和3年度から「被保険者報酬月額算定基礎届総括表」が廃止され、手続き的には簡易になる。

 社会保険関係についても、電子申請することによってさらに便利になるので、ご検討いただきたい。

 「源泉所得税の納期特例」とは、給与の支給人員が常時9人以下の中小企業等である源泉徴収義務者については、所轄税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出し、承認を受けることによって、半年分を年2回に分けて納付することができる特例制度である。その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税等は7月10日（今年は7月12日）、7月から12月までに源泉徴収した所得税等は翌年1月20日がそれぞれ納付期限となる。

 この特例の対象となるのは、給与や退職金に係る源泉所得税等と、税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬に係る源泉所得税等に限定されている。つまり、原稿料や外交員等に支払った報酬に係る源泉所得税等については、納期特例の対象外であり毎月納付しなければいけないのでご注意いただきたい。

 またよくあるミスとしては、１月から6月中に支払った賞与と退職金に係る税金について、納期特例の対象に含むことを忘れている。この他には、前回の年末調整において控除できなかった税額（繰越控除税額）があるにも関わらず、控除し忘れているケースである。必ず前回の年末調整時の納付書を確認し、7月12日納付分の税額から控除して欲しい。