国税庁がこのほど公表した令和2事務年度の法人税等の調査事績を発表した。それによると、今年6月までの1年間（令和2事務年度）においては、コロナ禍の影響で実地調査件数等が大幅に減少するなか、“簡易な接触”を活用し、自発的な申告内容等の見直し要請を6万8千件（前事務年度比56.5％増）実施。簡易な接触に係る申告漏れ所得金額は76億円（同79.2％増）、追徴税額は62億円（同128.7％増）となった。

 簡易な接触とは、税務署において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請するもの。

 法人税・消費税の実地調査では、大口・悪質な不正計算等が想定される法人など、調査必要度の高い法人2万5千件（同67.3％減）について調査を実施。その結果、申告漏れ所得金額は5,286億円（同32.3％減）、追徴税額（法人税・消費税）は1,936億円（同18.2％減）となっている。

 以上のように、法人税等の調査は、新型コロナの影響から調査件数等は減少したが、実地調査1件当たりの追徴税額は780万６千円と、前年度（313万5千円）から約2.5倍に増加している。

 また、源泉所得税については、実地調査の件数は2万9千件であり、源泉所得税等の非違があった件数は1万件、追徴税額は145億円。簡易な接触の件数は13万8千件であり、追徴税額は74億円となっている。