令和4年度 国民負担率は46.5%となる見通し

浅野 宗玄
2022.03.14

3年度実績見込みから7年ぶりに低下
 財務省は、国民負担率が、令和4年度予算では令和3年度実績見込みから1.5ポイント減の46.5%と7年ぶりに低下する見通しと発表した。国民負担率とは、国民所得に対する税金や社会保障(年金・健康保険などの保険料)の負担割合のこと。

 令和4年度見通しの内訳は、国税17.3%、地方税10.5%で租税負担率が27.8%、社会保障負担率は18.7%。前年比で国民所得の伸びが大きく、社会保障負担などの増加を上回る見通しで、国民負担率を引き下げた。

 令和3年度実績見込みに比べ、租税負担率は0.9ポイント減(国税:0.6ポイント減、地方税:0.3ポイント減)と2年ぶりに低下、社会保障負担率も0.6ポイント減と2年連続で低下した。国民負担率を諸外国(令和元年実績)と比べた場合、日本(令和元年度44.4%)は、米国(32.4%)よりは高いが、フランス(67.1%)、スウェーデン(56.4%)、ドイツ(54.9%)、英国(46.5%)よりは低い。
「潜在的な国民負担率」は56.9%の見通し
 真の負担率は、財政赤字という形で将来世代へ先送りしている負担額を加える必要がある。財務省によると、令和4年度の国民所得(令和3年度に比べ20.3兆円増の403.8兆円 の見通し)に対する財政赤字の割合は、前年度から2.4ポイント減の10.3%となる見通し。この結果、令和4年度の国民負担率に財政赤字を加えた「潜在的な国民負担率」は、令和3年度実績見込みからは3.8ポイント減の56.9%だが、過去3番目に高い見通し。

 なお、租税負担率は、戦後混乱期を除いて20%前後で推移。しかし昭和50年代半ば以降、次第に上昇し始めその後はほぼ20%台前半から半ばで推移、令和3年度実績見込みでは過去最高の28.7%を記録、令和4年度は過去3番目に高い。

 OECD加盟38ヵ国との令和元年実績での比較では、比較可能な36ヵ国中、日本(25.8%)はメキシコ(19.2%)、コスタリカ(19.4%)などに次ぐ7番目に低い水準。最高はルクセンブルクの65.3%。
国民負担率は10年連続で40%台の高水準
 また、令和4年度見通しの国民負担率46.5%は、調査開始以来、過去最高となる令和3年度実績見込みの48.0%を1.5ポイント下回るが、10年連続で40%台の高水準の数字となる見込みだ。

 OECD加盟38ヵ国と令和元年実績で比較した場合、日本(44.4%)は、比較可能な36ヵ国のなかで下から12番目に低い。ちなみに、最高はルクセンブルクの93.4%、最低はメキシコの21.7%(租税負担率も最低の19.2%)だった。
参考資料:
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト

1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php

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