所得税法等一部改正など令和4年度税制改正法案が成立

浅野 宗玄
2022.04.04

 令和4年度税制改正における所得税法等の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する法律案が3月22日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。両法律案は、別段の定めのあるものを除き、令和4年4月1日から施行する。
賃上げに係る税制措置の拡充
 所得税法等の一部を改正する法律案の主な内容は、成長と分配の好循環の実現に向けた積極的な賃上げ等の促進すること、カーボンニュートラルの実現等の観点から国税に関し所要の改正を一体として行うというもの。

 法人税の賃上げ等の促進強化に係る税制措置としては、現行制度を抜本的に見直し、積極的な賃上げや人材投資を促す。大企業等については、継続雇用者の給与総額を3%以上増加させた場合に、雇用者全体の給与総額の対前年度増加額の15%の税額控除を行うとともに、賃上げや人材投資(教育訓練費の増加)に積極的な企業に対しては、税額控除率を上乗せし、最大30%を税額控除できる制度とする。その際、一定規模以上の大企業に対しては、給与の引き上げの方針、取引先との適切な関係の構築の方針等を公表していることを要件とする。

 中小企業においては、全雇用者の給与総額を1.5%以上増加させた場合、15%の税額控除(2.5%以上増加の場合さらに15%上乗せ、教育訓練費を1割以上増加の場合さらに10%を上乗せ)とし、税額控除率を最大40%に引き上げる。
個人所得課税では住宅ローン控除の見直し
 個人所得課税では、住宅ローン控除について適用期限を延長し、2025年末までの入居者を対象とする。省エネ性能等の高い認定住宅等について、新築住宅等・既存住宅ともに、借入限度額の上乗せを行う。控除率は0.7%とするとともに、所得要件を2000万円とする等の見直しを行う。

 資産課税では、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を見直し、限度額を最大1000万円とした上で、2年延長する。
地方税は土地に係る負担調整措置の見直し
 地方税法等の一部を改正する法律案の主な内容は次の通り。
(1)
固定資産税及び都市計画税について、土地に係る負担調整措置を、令和4年度に限り、商業地等の課税標準額の上昇幅を評価額の2.5パーセントとする措置を講ずる。
(2)
法人事業税について、付加価値割における給与等の支給額が増加した場合の特例措置の拡充等を行う。
(3)
個人住民税について、住宅借入金等特別税額控除の延長等を行う。
参考資料:
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト

1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php

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