コロナ禍受けて「リモハラ」が増加

庄司 英尚
2022.07.04

過去1年間に何かしらのハラスメントを感じた43.6%
 キャリアや就転職に関する研究機関のJob総研は、パワハラ防止法が本年4月から中小企業でも施行されるにあたり、勤務先でのハラスメント被害の実態や、コロナ禍との関連および、勤務先での防止対策とその満足度などを調査した「2022年 ハラスメント実態調査」を実施し、その調査結果を発表した。

 過去1年間でのハラスメントについて、全体の43.6%が何かしらのハラスメントを感じたと回答、その中で「実際にハラスメントの被害を受けた」と回答したのが31.9%、「当事者ではないが社内でハラスメントがある」と回答したのが11.7%となった。

 ハラスメントの内容については「パワハラ」が最多の64.0%で、昨年から15.7ポイント減少しているが、コロナ禍によって働き方がリモートワーク主流になったことで、「リモハラ」(リモートハラスメント=リモートワークなどオンラインを介して差別や不快を与える言動のこと)は昨年に比べて20ポイント増加の26.9%であった。リモハラについては、今後も働き方が変化していくなかで企業側が具体的に対応策を考えて行動に移していかなければならないであろう。
コロハラも多い
 コロナ禍のハラスメント影響度については55.4%が「影響している」と回答し、コロナ禍が影響して増加したハラスメントについては「コロハラ」(コロナハラスメント=コロナ感染者もしくはそれを疑われる人に対して差別や不快を与える言動のこと)が37.5%で最多、次いで「リモハラ」が35.9%、「パワハラ」が21.7%という回答結果になった。

 ハラスメントの加害者についての質問では、「直属の上司」が68.2%で最多、次いで「先輩」が30.3%、「同じ地位・役職者」が20.1%、「役員」が13.3%、「代表取締役」が12.9%、「部下や後輩」が7.6%となった。

 勤務先でのハラスメント防止対策では、「十分な対策がされている」(24.2%)と「十分ではないが対策がされている」(44.0%)を合算した68.2%が何かしらの対策がされていると回答し、31.8%は対策なしという結果となった。対策の内容については、「相談窓口を設けている」が51.4%で最多、次いで「ハラスメントガイドラインの周知」が38.5%、「ハラスメント研修および教育を実施」が31.1%という回答結果となった。

 相談窓口があっても実際にはなかなか相談できないという従業員は多いわけだが、このような調査結果や社内の声を汲み取り、事例を含めて研修や啓発活動などをコツコツと継続的に行っていくことが大切である。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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