マイナンバーカードで失業認定手続きが可能に

庄司 英尚
2022.10.24

雇用保険受給資格者等で本人確認を実施している
 雇用保険の失業の認定等の手続きについて、これまでは、離職者が受給資格決定時に提出していた顔写真を貼付した雇用保険受給資格者証等で本人確認や処理結果の通知が行われていた。

 マイナンバーカード利用促進の流れを受けて、今年10月1日以降に受給資格の決定がされた人には、希望により、マイナンバーカードによる本人認証を活用することで受給資格者証に添付する写真や失業認定ごとの受給資格者証の持参が不要になる。写真の添付などが不要になれば受給者本人の負担が減ることになるので、マイナンバーカードを利用した失業認定手続きが促進されるのではないだろうか。

 もちろんマイナンバーカードが広く普及しているわけではないので、まだ持っていない方やそのような取り扱いを希望しない人には従来どおりの手続きができるので心配は不要である。
マイナンバーカードを利用した失業認定の流れ
1.
ハローワークにマイナンバーカードを持参のうえ離職票を提出し、受給資格の決定を受ける(従来のように受給資格者証に添付するための顔写真2枚の用意は不要)。
2.
雇用保険説明会で、受給資格通知が交付される。
3.
原則4週間に1回の認定日ごとにマイナンバーカードによる本人認証を受け、失業の認定を受ける。この時に処理結果が印字された受給資格通知が交付される。
 注意点としては、マイナンバーカードを利用した失業認定等の手続きを希望した場合、それ以降は原則として受給資格者証等による失業認定手続きに変更することはできないということ。また、マイナンバーカードで設定した4桁のパスワード入力が必要になるので、それを忘れてしまったり、3回連続して誤入力してしまうとマイナンバーカードよる本人認証は利用できない(3回連続誤入力した場合はロックがかかってしまい、住民票がある市区町村の窓口にてパスワードの再設定が必要となる)。
保険証のマイナンバーカード利用も徐々に増えている
 マイナンバーカードの保有率が徐々に改善されてきているとはいえ、まだ国民全員に普及しているとはいえない中で厚生労働省は、マイナンバーカードの健康保険証利用について申込みを促進する活動に力を入れている。

 今回はマイナンバーカードを利用した失業認定手続きが新たに可能になったことを紹介したが、マイナンバーカードの健康保険証利用がもっと増えれば、失業認定手続きの際にも当然のように便利なマイナンバーカードによる失業認定手続きを選択する人が増えるだろう。

 その他の行政手続きやマイナポイントの導入などでもマイナンバーカードという言葉が身近になってきていると感じている人も増えているので、今後は役所や自治体の効果のある広報活動が必要であるといえるだろう。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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