2022年10月からのフラット35制度変更は?

高橋 浩史
2022.10.31

 2022年4月から、全期間固定金利型の住宅ローン「フラット35」について、さまざまな制度改正が始まっています。そして10月からもいくつかの制度の追加や変更がありました。
ZEHの基準を満たした住宅に金利優遇
 フラット35については、4月から「維持保全型」(長期に渡って住むために品質を配慮した住宅)への金利引下げや、「地域連携型」(自治体との連携による子育て世帯や地域移住者への支援)への金利引下げ期間拡大といった施策がスタートしています。

 そしてこの10月からは、「フラット35S(ZEH)」が始まっています。ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」を略したもので、断熱・省エネ・創エネを組み合わせることで、年間の住宅エネルギーの消費量が、正味でおおむねゼロになる住宅のことを言います。

 ZEHのメリットとしては、住空間の快適性アップや光熱費の節約の他、太陽光発電や蓄電池によって、災害などで停電した場合でも電気製品を稼働でき、生活への影響を軽減できるといったことが挙げられています。

 フラット35S(ZEH)では、こうしたZEHの基準を満たす住宅に対し、フラット35の借入金利が当初5年間は年0.5%、6年目から10年目までは年0.25%引き下げられます。
金利優遇のポイント制度も開始
 フラット35S(ZEH)の導入に合わせ、2022年10月の借入申込受付分より、「住宅性能」「管理・修繕」「エリア」によってポイントで分類し、住宅ローンの金利引下げ幅や引下げ期間が変わる新たな制度も始まっています。それぞれの内容やポイント区分による優遇は下記のとおりです。
 基本的には、省エネ・断熱などの住宅性能の高い住宅や、管理・修繕面で長期の居住に向いた住宅がポイントも高くなり、金利優遇幅も大きくなります。また、10月の制度改正では、フラット35Sを適用する住宅の省エネ性能やバリアフリー基準も強化されています。

 住宅ローンでフラット35を選択するのであれば、借入後の返済計画の重要性はもちろんですが、これらの基準を満たす住宅を取り扱うビルダーを選ぶことも、大切な選択となりそうです。
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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