小規模業者にインボイス不要の特例検討か?

村田 直
2022.12.08

令和5年度税制改正で、インボイス制度の緩和措置を検討
 消費税のいわゆるインボイス制度が令和5年10月1日から開始される。制度開始まで残り1年を切り、事業者もそろそろ準備を始めなければいけない時期となってきた。

 そんな中、現在行われている令和5年度税制改正に向けての政府・与党税制調査会の議論において、小規模事業者に向けたインボイス制度の時限緩和措置が検討されているようだ。

 インボイス制度が始まれば、原則、支払先からインボイス(適格請求書)を受け取らないと、仕入税額控除が受けられなくなる。免税事業者からの仕入等については、制度開始から3年間、令和8年9月30日までは課税仕入の80%、その後令和11年9月30日までは課税仕入の50%が控除できる経過措置(注1)があり、またそれとは別に、3万円未満の公共交通機関の利用等(注2)についてはインボイスが不要となる特例なども設けられているが、基本的には、相手方からインボイスを受け取る必要があり、特に小規模事業者の負担が懸念されている。
(注1)免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置
(注2)交付義務の免除
公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送
(3万円未満のものに限る)
出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の譲渡
(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限る)
生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の譲渡
(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限る)
自動販売機・自動サービス機により行われる課税資産の譲渡等
(3万円未満のものに限る)
郵便切手を対価とする郵便サービス
(郵便ポストに差し出されたものに限る)
課税売上1億円以下の事業者のみ、猶予措置で1万円未満はインボイス不要?
 そこで、政府・与党は、数年間の時限措置として、規模の小さい事業者については、一回の仕入額が少額な取引ではインボイスがなくても仕入税額控除を受けることができる方向で検討しているようだ。

 対象となる事業者の規模、時限措置の期間、取引額の上限については、今後調整していくこととなるが、現在は、対象となる事業者の規模は課税売上高で年1億円以下、少額取引の額は1万円未満との案が出ている。

 もちろん、まだ決定したわけではなく、今後の議論を注視する必要があるが、小規模事業者にとっては朗報といえよう。
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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