2023年、どうする住宅ローン選び!?

高橋 浩史
2023.02.06

 2022年12月、日銀が金融政策を修正した影響などで、固定型の住宅ローン金利が上昇傾向にあります。一方で、変動型の住宅ローン金利については、今のところ変化は見られません。果たして今年、住宅ローン金利はどうなっていくのでしょうか。
主要銀行の固定型が上昇
 昨年末の日銀による金融政策決定会合では、世界的な金利上昇など金利正常化圧力から、長期金利の変動幅の上限が0.25%から0.5%に引き上げられました。

 この決定の影響で長期金利(10年国債の利回り)が上昇し、1月の固定型(固定金利期間10年)の住宅ローン金利は、前月比でおおむね0.1〜0.2%ポイント上昇しました。

 また、全期間固定金利型のフラット35の金利も前月に比べると上昇していますが、こちらは1.68%(※1)で、前月比0.03ポイントの上昇にとどまっています。多くの人が変動型で借り入れる中、顧客離れの防止を意識した結果かもしれません。

 10年固定型やフラット35の指標になる10年国債は、昨年秋頃からじわりと上昇し、1月13日には一時、日銀が上限としている0.5%を上回るなど、今後も上昇圧力が続くのではと予想されます。
※1:
借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付の金利の最頻値
変動型は今後も変化なし?
 一方の変動型の住宅ローン金利を見てみると、銀行によって0.3%〜0.4%など、依然として低位安定が続いています。新規で住宅ローンを借り入れる人の7割が変動金利型を選ぶなど、銀行間の激しい顧客獲得競争なども影響しているのかもしれません。

 以上のことから考えると、今年も住宅ローンは変動型優位の状況が続きそうです。とはいえ、春には日銀総裁の交代も予定されています。物価高でインフレが進行するようなら、金利政策の見直しがあるかもしれません。そうなると、変動型の金利にも影響が及ぶ可能性があります。

 ライフプランを立て、家計の将来見通しに不安があるのなら全期間固定型で借りて、住宅ローン返済額を確定するのも一つの方法です。あるいは、共働きで収入や貯蓄が安定するなら、変動型で借り入れても、金利上昇局面では繰上げ返済で元本を減らし、返済額の上昇の影響を最小限に抑えられるでしょう。

 いずれにしても、住宅ローンの金利タイプを選ぶ際には、国の金融政策や市場金利の動向にアンテナを向けることも大切です。日頃からの情報収集は欠かせません。
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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