令和5年3月決算法人の改正項目

村田 直
2023.04.13

 3月決算の会社については、5月末の申告期限に向けて、準備が必要な時期となった。そこで、前期決算から改正となった項目のうち、主なものをご紹介する。なお、紙面の都合上、各項目についての詳細な説明は割愛する。
賃上げ促進税制(大企業向け)
 法人の新規雇用者給与等支給額が増加した場合に係る措置が改組され、青色申告書を提出する法人が、令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その事業年度において継続雇用者給与等支給増加割合が3%以上であるときは、その法人のその事業年度の控除対象雇用者給与等支給増加額に15%(その事業年度において次の要件を満たす場合にはそれぞれ次の割合を加算した割合とし、その事業年度において次の要件の全てを満たす場合には次の割合を合計した割合を加算した割合)を乗じて計算した金額の税額控除ができる措置となった。
(1)
継続雇用者給与等支給増加割合が4%以上であること・・・10%
(2)
その法人のその事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額からその比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が20%以上であること・・・5%
賃上げ促進税制(中小企業向け)
 中小企業者等の雇用者給与等支給額が増加した場合に係る措置について、次の見直しが行われた上、その適用期限が令和6年3月31日まで1年延長された。

 具体的には、税額控除割合の上乗せ措置について、適用事業年度において次の要件を満たす場合には、15%にそれぞれ次の割合を加算した割合を税額控除割合とし、その適用事業年度において次の要件の全てを満たす場合には、15%に次の割合を合計した割合を加算した割合(すなわち40%)を税額控除割合とする措置とされた。
(1)
雇用者給与等支給増加割合が2.5%以上であること・・・15%
(2)
その中小企業者等のその適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額からその比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が10%以上であること・・・10%
少額減価償却資産、一括償却資産
 少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度について、対象となる資産から、取得価額が10万円未満の減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したものが除外された。

 同様に、一括償却資産の損金算入制度及び中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例についても、対象となる資産から、貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した減価償却資産が除外された。
連結納税制度の見直しに伴うグループ法人税制等の見直し
 連結納税制度からグループ通算制度への改組に伴い、グループ法人税制等について、次の見直しが行われた。
【受取配当等の益金不算入】
株式等の区分の判定方法の見直し
 関連法人株式等及び非支配目的株式等の判定について、内国法人との間に完全支配関係(改正前:連結完全支配関係)がある法人が有する株式又は出資の数又は金額を含めて行うこととされた。
負債利子控除額の見直し
 原則として、関連法人株式等に係る配当等の額の益金不算入額から控除される負債の利子の額は、その配当等の額の4%相当額とされた。
【寄附金の損金不算入】
 一般の寄附金の損金算入限度額及び特定公益増進法人に対する寄附金の特別損金算入限度額の計算の基礎となる「資本金等の額」について「資本金の額及び資本準備金の額の合計額又は出資金の額」とすることとされるとともに、これらの損金算入限度額の計算上の所得の金額について損益通算等の一定の規定を適用しないで計算することとされた。
【貸倒引当金】
 貸倒引当金の対象となる個別評価金銭債権及び一括評価金銭債権に含まないものとされる金銭債権が、内国法人がその内国法人との間に完全支配関係(改正前:連結完全支配関係)がある他の法人に対して有する金銭債権とされた。
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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