2021年度分赤字法人割合は61.7%、2年ぶりの減少

浅野 宗玄
2023.04.17

法人数は9年連続の増加
 国税庁が公表した「2021年度分会社標本調査」結果によると、同年度分の法人数は286万4,386社(前年度比2.1%増)で、2012年度以降9年連続の増加となった。このうち連結親法人は1,836社(同0.7%増)、連結子法人は1万5,868社(同14.9%増)だった。連結子法人を差し引いた284万8,518社のうち利益計上法人(黒字法人)が109万917社(同3.8%増)で増加に転じ、欠損法人(赤字法人)は175万7,601社(同1.0%増)で2年連続の増加となった。

 この結果、全法人に占める欠損法人の割合は61.7%となり、前年度比▲0.6ポイントと2年ぶりの減少。このうち連結法人(1,836社 )は、利益計上法人が1,153社、欠損法人が683社で、欠損法人の割合は37.2% となっている。
黒字法人の所得金額は過去最大
 2021年度調査では、新型コロナウイルス感染症の影響による企業の業績悪化等が緩和されたことにより、黒字法人の営業収入金額は3年ぶりに増加し、所得金額も2年連続で増加している。全法人の営業収入金額は1,478兆4,551億円(前年度比9.5%増)で、このうち黒字法人の営業収入金額は1,142兆7,539億円(同16.4%増)と大幅に増加し、3年ぶりに増加した。黒字法人の所得金額も75兆5,808億円(同18.5%増)と2年連続で増加し、過去最大だった2018年度分(69兆7,456億円)を5兆8,352億円上回った。また、法人税額は13兆2,464億円(同18.5%増)で3年ぶりの増加となった。

 繰越欠損金の当期控除額は10兆917億円(前年度比43.7%増)と大幅に増加、翌期繰越額は73兆5,399億円(同3.2%増)で、ともに2年連続の増加。1事業年度当たり当期控除額は、全体では1,143万円で、業種別では、「鉱業」(9,852万円)、「化学工業」(3,742万円)の順。1事業年度当たり翌期繰越額は、全体では4,238万円で、業種別では、「鉱業」(2億1,984万円)、「金融保険業」(1億1,473万円)の順だった。
交際費等の支出額は3年連続のマイナス
 一方、“景気のバロメーター”と言われる交際費等の支出額は、2兆8,507億円と前年度比▲3.7%の減少で3年連続のマイナスとなった。新型コロナウイルスによる飲食店の時短営業など自粛の影響が垣間見える。また、このうち税法上損金不算入とされた金額は18.9%に当たる5,384億円(同2.2%増)だった。営業収入金額10万円当たりの交際費支出額は、全体では193円で、これを業種別にみると、最も多いのは「建設業」の521円、最も少ないのは「化学工業」の76円となっている。
参考:
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト

1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php

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