正社員の新卒採用、予定数の半分に満たない中小企業が3割

庄司 英尚
2026.07.27

正社員の新卒採用、予定者数をクリアできている企業は半数強
 日本政策金融公庫総合研究所は6月19日に「中小企業における従業員の採用・定着に関する調査」結果を発表した。本調査の対象は、日本政策金融公庫の取引先である全国の中小企業1万2,632社で、有効回答数は4,123社だった。中小企業に特化したタイムリーな採用動向がわかるデータであり、参考になるところも多い。

 調査結果によると、正社員の採用予定者数に対する採用者数の割合(新卒採用)は、「50%未満」と回答した企業は31.1%と厳しい実態が明らかになった。なお「50%以上~100%未満」は12.8%、「100%」は51.7%、「100%超」は4.4%であった。半数強の企業は新卒の採用予定数を確保できているのに対し、約3割の企業は予定数の半分すら確保できていない二極化が見られた。
中途採用のみ実施している企業は約4割も
 採用活動そのものについて実施状況を尋ねたところ「新卒採用のみ実施」は3.6%、「中途採用のみ実施」は39.1%、「両方とも実施」は29.0%、「実施していない」は28.4%と、中途採用のみ実施している企業が最も多かった。

 これを従業員規模別に見てみると、新卒・中途採用とも実施している割合は、「49人以下」企業は17.6%、「50~99人」企業は39.1%、「100人以上」企業は62.1%となっており、規模が大きくなるほど「両方とも実施」している割合が多かった。
定着のため実施していることのトップは「基本給や賞与等の引き上げ」
 人材募集の経路を尋ねると(複数回答)、「求人サイト」(55.3%)と回答した企業が最も多く、次いで「ハローワーク」(54.2%)、「人材紹介エージェント」(28.5%)、「自社従業員からの紹介」(28.1%)、「自社のホームページやSNS」(21.4%)の順となっている。

 人材募集で工夫したことについては(複数回答)、「初任給の引き上げ」(43.4%)と回答した企業が最も多く、次いで「未経験・無資格者の積極的な採用」(37.2%)、「自社HPでの情報発信の充実」(25.5%)の順となっていた。

 厳しい環境ながらも中小企業が採用に力を入れていろいろ工夫していることは理解できるが、やはり大事なのはそのまま定着してもらって早々に退職する人を発生させないことである。従業員を定着させるために実施していることを尋ねると(複数回答)、「基本給や賞与等の引き上げ」が73.0%のトップで、「休日の増加」、「労働時間の削減」、「働き方の見直し」、「従業員の健康の配慮」と続いた。

 しかしながら、このように頑張っていても、「入社から3年以内に退職する方が多く、従業員を定着させるための取り組みを強化する必要がある」や「大手企業の賃上げが大幅すぎて、中小企業への応募が減少している」などの切実なコメントが回答者から寄せられており、採用に関する課題を解決するには厳しい現状がある。

 このようなデータを参考にするのはもちろんのこと、変化が激しいなかで最新の傾向分析や採用ルートの新たな開拓なども検討する必要があるといえるだろう。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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