副業をしている人は1割未満だが増加傾向に

庄司 英尚
2023.04.24

副業している人は少数派でも増えつつある
 副業に関しては、厚生労働省が2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成して副業のルールを発表しており、働き方改革の影響もあって徐々に副業が定着してきている。就業規則において副業を明確に規定している企業も増えつつあり、以前に比べれば身近になってきているが、副業をしている人の実態はわかりにくい。

 そんな中で2022年8月に転職サービス「doda」が社会人1万5,000人に対して行った副業の実態調査によると、「今、副業をしていますか」という質問に対し、「している」と答えた人の割合は8.2%(前回比0.2ポイント増)、「検討中」は18.4%(同0.6ポイント増)であった。最近はニュースなどで副業について話題になることも多いが、全体からすると副業をしている人は1割に満たないことが明らかになった。
副業の月収、約3割が「1万円未満」
 副業でどのくらい稼げるのか気になるところだ。副業による月収で最も割合が多いのが「1万円未満」で29.1%、次が「10万円以上」で15.9%、以下、「1万円台」の15.4%、「5万円台」の12.2%、「2万円台」の10.2%、「3万円台」の10.0%となった。特に10万円以上の層は、前回調査の34.4%と比べると半分以下に大幅ダウン。全体では4万円以上の層で減少傾向が見られ、1万円未満は大幅増となった。

 年代別で見ると、20代・30代の平均は3万5千円前後なのに対し、40代は平均約6万5千円となり、3万円近く高くなっている。年代による差はあるものの、全体の平均月収は5万1,218円であった。
副業の内容「サービス業(接客・販売)」がトップ
 副業の内容として多いものを挙げると、「サービス業(接客・販売)」(20.8%)、「株/FX」(19.4%)、「ネットビジネス(通販・アフィリエイト・ネットショップ運営)」(11.4%)が上位を占めている。前回調査と比べると、「サービス業(接客・販売)」が前回の17.9%から2.9ポイントアップし、1位と2位が逆転している。要因としては、コロナ禍で縮小していた対面での接客や販売が復活してきていることが考えられる。

 「いつ副業をしていますか」という質問に対しては。休日が約7割で最も多く、勤務終了後が約4割を占めている。実際にどこまで可能なのかはわからないが、勤務中の休憩時間という回答がじつに17.2%もあって、会社側としては、働きすぎて過重労働にならないか、競合他社の仕事をしていないか、機密漏洩しないか気になるところだ。

 副業をする人自身も無理なく実行するために本業との仕事量の兼ね合いや副業に充てる時間をどのように管理するかが重要になってくる。継続して副業収入を一定額確保し続けるのは簡単ではないので、実際には副業経験者の話などもよく聞いて本業に影響が出ない範囲で健康面にはより一層注意しなければならないといえるだろう。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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