令和5年施行消費者契約法改正について

田中 一司
2023.05.08

 令和5年1月に改正消費者契約法が施行された。これは、いわゆる霊感商法による被害などを救済するため、消費者契約法による契約の取り消し等ができる期間を延長するものとなっている。
 消費者庁の資料によると、事業者が消費者契約締結の勧誘にあたり、霊感等による告知を用いた勧誘を行った場合、契約取消権の行使期間を伸長すると定めている。
 霊感等による告知とは次のようなものである。
当該消費者又はその親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について、
そのままでは現在生じ、若しくは将来生じ得る重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、
又はそのような不安を抱いていることに乗じて、
その重大な不利益を回避するためには、当該消費者契約を締結することが必要不可欠である旨を告げること。
 霊感等による告知を用いた勧誘により、消費者が困惑し、それによって消費者契約の申込みまたは承諾の意思表示を行った場合これを取り消すことができる。
 このような場合、消費者契約法による取消権は、困惑の状況から解放されたときから1年、あるいは契約締結のときから5年と定められていたが、それぞれの期間が3年、10年となる。

 今回の改正は生命保険募集人の活動に大きく影響を与えるものではない。しかし、消費者契約法は生命保険契約にも適用される法律であり、消費者保護意識の高まりを受け、生命保険の募集活動においても一層慎重に取り組む必要がある。

 なお、今回の消費者契約法の改正に合わせ、国民生活センター法も改正された。これによってADRの迅速化など、より一層の消費者保護が図られるようになったことも併せて確認しておきたい。
参考:
消費者庁Webサイト 消費者契約法
(セールス手帖社 田中一司)

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