第三者承継(M&A)での従業員への影響とは?

山崎 美穂
2023.06.08

経営者が廃業を避ける理由に“従業員の雇用”
 後継者不在の中小・小規模企業の経営者が廃業を避けている理由の1つに、“従業員の雇用”がある。

 廃業を決めた企業は、基本的に雇っていた従業員を解雇することになることが多いが、少数精鋭で一緒に頑張ってきた従業員たちである。経営者の方は断腸の思いで決断をされている。

 廃業を回避すべく、第三者承継で会社や事業を引き継いでくれる企業を探し、従業員の雇用継続を含め会社丸ごと譲受企業へ託そうとご決断される方も増えてきている。

 では、第三者承継で会社や事業を承継することによって、従業員の雇用にどのような影響があるのだろうか?細かな事項は割愛させて頂くが、第三者承継の際の従業員への影響について簡単にご紹介させて頂く。
会社を譲り渡す方法
 会社を第三者承継する際、中小・小規模企業の場合は大きく2つ「株式譲渡」と「事業譲渡」の契約に分類されることが殆どである。

 株式譲渡は、例えるなら会社という大きな家に、事業や従業員・設備・取引先と締結した契約など、会社を構成している全てが入っており、その家を丸ごと譲渡するイメージである。譲渡後、家の持ち主は変わるが、家は変わらないので、引っ越し作業や住所変更などの手間が少なくてすむのも利点の一つだ。

 事業譲渡は、例えるなら会社という大きな家に入っている、事業や従業員・設備・取引先と締結した契約などを個々に運び出し、新たな家に譲渡するイメージである。家が変わるので、引っ越し作業や住所変更などの手続きなども個々に必要となり、工数もかかってしまう。
※一部例外項目もある。
譲渡方法で従業員への影響度合いが変わってくる
 本題に戻し、従業員への雇用に関する影響だけに絞ってお伝えすると、譲渡企業・譲受企業の合意のもと、下記のように引継がれるのが一般的である。
〇株式譲渡
 譲渡後、経営者は変わるが、在籍している会社(譲渡企業)が変わらないので、従業員の雇用(労働)契約はそのまま承継される。手続きも不要である。条件もそのままなので、従業員への雇用に関する影響はほぼ無い。
〇事業譲渡
 譲渡後、在籍している会社を移動することになるので、新たに在籍する会社(譲受企業)と従業員の雇用(労働)契約が必要となる。その為、従業員に転籍の同意や雇用契約のまき直しなどの影響が発生する。
※一部例外項目もある。
 余談だが、第三者承継は秘密厳守で行われるため、一般的には成約後の引継ぎ段階になるまで、従業員へ第三者承継について開示することは殆どないので、ご注意頂きたい。

 上記のような注意点が多岐に渡る為、従業員・譲受企業に迷惑が掛からないよう、専門家を介して第三者承継に取り組むことをお勧めする。
山崎 美穂(やまざき・みほ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

栃木県出身。一般企業で経理・総務を経験し、現法人へ。企業で役立つ支援策・補助金等の最新情報を収集、お役立ち情報としてSNSやホームページで発信中。
趣味は釣りと食べ歩き。
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