新入社員の4人に3人は、ジョブ型への移行を歓迎

庄司 英尚
2023.06.12

6割以上が「希望する部署や職種で働けるなら」入社を考える
 株式会社日本能率協会マネジメントセンターは、新入社員の意識と行動、指導者の指導と育成に関する調査報告書「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2022」を公開した。この調査は2021~2022年に入社した新入社員と、新入社員の育成に関わる上司・先輩社員の計2,300名を対象に2022年6月に実施された。

 近年、多くの企業が、職務内容(ジョブ)に基づいて、その職務を遂行するのに適したスキルや実務経験を持つ人を採用する「ジョブ型雇用」への移行を進めているが、「ジョブ型」への移行についての感想を新入社員に質問したところ、「ジョブ型への移行は歓迎である」と思っている割合は76.9%であった。

 また「自分が希望する部署や職種で働けるかどうかは、入社の意向に影響した」という問いに対して、「Yes」と回答した割合は63.8%となっており、新入社員の半数以上が採用・配置・配属でジョブ型を志向していることが明らかになった。このような傾向は、今後の企業側の採用の仕方にも影響がありそうである。
挑戦よりも失敗回避の傾向
 Z世代の働く実態としては、「仕事がしやすいのはテレワーク」という回答が今回の調査で過半数を超えた(52.6%)一方で、「コロナ禍以降はできる限り出社したい」「在宅勤務が増え、直接的なコミュニケーションが減ると困る」「報連相で有効なのは対面でのコミュニケーション」と回答した人がいずれも60%以上を占めており、対面でのコミュニケーションの機会も求めていることが明らかになった。

 Z世代の成長意欲としては、新入社員の72.7%が「失敗から学ぶことは多いので、恐れずに取り組むことが大切である」と回答している一方で、自身に仕事を任された際は58.0%が「失敗したくないので、責任ある大きな仕事は任されたくない」と思っている。

 また、自身の成長については、成長のために挑戦するよりも、「無理のない範囲で業務に取り組みたい」と54.5%が回答しており、挑戦よりも失敗回避の傾向はZ世代の入社が本格化し始めた2020年以降に顕著となっていることから、Z世代の特徴と考えてもよいだろう。
価値観・考え方が合わない上司には自分から近づかない
 新入社員は上司・先輩との関わり方についてどう考えているのか。上司・先輩から叱られた後の対応について尋ねたところ、新入社員の59.2%が「こちらから関わりを持つようにして、必死で食らいつこうと思う」と考えている一方で、自分の価値観・考え方と合わない上司に対しては、57.1%が「自分から歩み寄ろうと思わない」と回答している。

 仕事で行き詰まっているときに上司・先輩に期待することは、「行き詰っている状況を上司・先輩に察してもらい、向こうから話しかけてほしい」と55.6%が考えており、指導者側への期待が大きく、「他者への働きかけ」もミレニアムや氷河期、バブル期といった他の世代よりも低い結果となっている。

 これらの調査結果からZ世代の特徴を理解するのはもちろんのこと、会社側は今までのやり方ではうまくいかないこともたくさんあるので、早めに変化に対応するマネジメント力が求められるといえる。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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