インボイス制度後の立替経費精算

木下 洋子
2023.06.29

立替経費精算には、インボイスの他に精算書等が必要な場合も
 令和5年10月1日からインボイス制度が始まる。適格請求書(インボイス)発行事業者は、制度開始に備えて準備を進められていることと思う。

 インボイス制度下において立替えられた経費の精算をする場合、仕入税額控除の要件を満たすには、インボイスに加えて立替金精算書等の保存が必要となる場合がある。
取引先に経費を立て替えてもらった場合
 例えば、A社が取引先のB社に経費を立て替えてもらう場合について、A社がこの経費の仕入税額控除を行うには、B社からどのような書類を受領すれば良いか。

 事業者が仕入税額控除の適用を受けるためには、原則、一定の事項が記載された帳簿とインボイスの保存が必要である。

 B社がA社に代わってC社に経費を支払う場合は、C社から、発行されるインボイスには、交付を受ける事業者としてB社の名称が記載される。このインボイスをそのままA社が受領したとしても、インボイスの交付を受けた事業者名はA社でなく、B社となっているため、A社はこの経費について仕入税額控除の適用を受けることができない。

 この場合、立替払を行ったB社から、立替金精算書等の交付を受けるなどにより、経費の支払先であるC社から行った課税仕入れがA社のものであることが明らかにされている場合には、その適格請求書及び立替金精算書等の書類の保存をもって、C社からの課税仕入れに係る請求書等の保存要件を満たすこととなる。
 立替払いを受けたA社等は、立替金精算書の保存をもって適格請求書の保存があるものとして取り扱われるため、立替払を行った取引先のB社は、その立替金が 仕入税額控除可能なものか(すなわち、適格請求書発行事業者からの仕入れか、適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れか)を明らかにし、また、適用税率ごとに区分するなど、A社が仕入税額控除を受けるに当たっての必要な事項を立替金精算書に記載しなければならない。
従業員の立替経費
 従業員が立て替えた経費についても、受領した領収書の宛名が会社名でなく、その従業員の氏名になっている場合には、支払者が会社であることを明らかにするため、立替金精算書を作成・保存する必要がある。

 ただし、不特定多数の者に対して販売を行う小売業、飲食店業、タクシー業等に係る取引については、宛名不要の簡易インボイスとして、そのレシートの保存のみで仕入税額控除の適用を受けることができるので、立替金精算書が不要である。

 また、適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客、従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)については、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められる。
出典:
木下 洋子(きのした・ひろこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。趣味はピアノを弾くこと。

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